雑記530. 2024. 5.11
“ 根から現れた冬芽 ”
 昨年の9月に採集したアベマキのドングリを蒔いたところ、今年の春にちょっと変わった芽生えが現出しました。それは、発根して間もなく茎が伸長し、そこに現れた複数の冬芽を介して今年の春に芽生えたものでした(*)。昨年の同時期に蒔いた他のドングリが、今年の春になってようやく茎を伸ばして芽生える様子を見ていると、何が原因でこのような違いが生じたのか不思議でなりませんが、実はもう一つ別のアベマキのドングリにも、これとは異なる奇妙な芽生えが見られたのです。
* 雑記529を参照願います。

 
 図8-530-1は、一見すると普通のアベマキの芽生えのようですが、地上に露出した根の部分に着目すると、そこに複数の冬芽がついていたのです。植物を構成する根や茎、葉などは連続体ですから、茎以外の部分に冬芽が形成されたとしても不思議ではないのかもしれませんが、この場合は根そのものではなく、根の内側に隠れた茎に形成された冬芽が、根をつき破って露出したのかもしれません。

 4月になって割裂した根から茎が伸長するまでは、これらの冬芽からたくさんの茎が伸長して、稀に見る賑やかな芽生えの様相を呈するだろうと期待していたのですが、残念ながら現実は至ってシンプルなものでした。