雑記529. 2024. 5. 8
“ 2種類の奇妙な芽生え ”
 昨年の8月下旬〜9月頭にかけて採集したフモトミズナラとカシワのドングリを、植木鉢に入れて毎日欠かさず水やりを続けていたら、発根して瞬く間に茎が立ち、10月上旬に本葉が開くものが現れました(*)。ドングリと言えば、秋に結実したものが発根した状態で越冬し、翌年の春に地上部に露出した根が割裂して茎が現れるもの(**)だとばかり思っていたので、これらの芽生えには大変驚かされました(図8-529-1参照)。
  * 雑記508を参照願います。
** 一部の落葉樹や常緑樹の多くは、翌年の春に発根します。

 ところで、フモトミズナラとカシワのドングリ以外に、アベマキとウバメガシでも年内に本葉は開かなかったものの、発根して早々に茎を伸長したものがありました。ただ、それらの茎の長さは本来の芽生えものに比べるとかなり短めで、アベマキは50mm、ウバメガシは10mm程度でしたが、しばらくするとそこに複数の冬芽が形成されていました。さらに、年が明けて4月になるといくつかの冬芽が開き、そこからあらたな茎が伸長して本葉が開いたのです。
 図8-529-2は、昨年の9月に採集してその月の内に発根し、年内に茎だけが伸長したアベマキのドングリの芽生えの様子を撮影したものです。伸長した茎には7個の冬芽が形成されており、今年の4月にそれらの内の2つの冬芽からあらたに2本の茎が伸長して本葉が開きました。昨年の同時期に蒔いた典型的なアベマキのドングリ(図8-529-3参照)に比べると、ちょっと変わった芽生えのスタイルであることが判ります。

 
 一方、図8-529-4は昨年の10月に採集して翌月に発根し、年内に茎だけが伸長したウバメガシのドングリの芽生えの様子を撮影したものです。伸長した茎の頂上付近に形成された3つの冬芽からあらたに3本の茎が伸長して、それぞれに本葉が開きました。こちらも、昨年の同時期に蒔いた典型的なウバメガシのドングリの芽生え(図8-529-5参照)に比べてかなり異色のスタイルです。