雑記519. 2023.11.28
“ アラカシの王様 ”
数あるウラジロガシのドングリの中から、個人的にもっとも風格があると感じているものを “ ウラジロガシの王様 ” として、以前このHPの中で紹介しました(*)。私が日常的に接する機会の多いアカガシ亜属のドングリには、ウラジロガシの他にアラカシとシラカシがありますが、これらについてはそれぞれに意中の王様が存在します。今回は、ウラジロガシの王様に次ぐ第二弾として “ アラカシの王様 ” をご紹介します。
* 雑記285を参照願います。
関東でアカガシ亜属のドングリと言えばシラカシですが、関西ではアラカシを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。最近では、公園や緑地、街路樹としてあらたに植栽されるものは、アラカシよりもシラカシが増えているように感じられますが、山岳部や雑木林等の昔からある緑地ではアラカシが圧倒的に優勢です。
さて、そのアラカシの中で私が 『 これぞ正しく王様だ!』 と感じているドングリを結実する個体は、自宅から徒歩で10分程度のところにあるステーキレストランチェーン三田屋本店 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] の庭園内にあります。決して地元のドングリをご贔屓にしているわけではなく、これまでいろんなところで数えきれないぐらいアラカシのドングリを見てきましたが、これ以上に王様に相応しいものは未だ出会っていません。
このドングリの堅果の幅は同種でも最大級ですが、長さだけならこれよりも大きなものはいくらでもあります。ですが、大きくて形のいいへそと、瓦屋根を彷彿させるお椀型の大きくて立派な殻斗を兼ね備えたものには、なかなかお目にかかれません。
しかも、アラカシの大きなドングリは乾燥するにつれて縮むだけでなく型崩れしやすいのですが、このドングリは果皮がとても頑丈なせいか、20年ぐらい前に採集したもの(図8-519-4参照)でも少しばかり縮んでスリムになる程度で、美しいフォルムを今も変わらず維持しており、ディスプレイ品としても秀逸なんです☆
この庭園内には、他にも立派なドングリを結実するアラカシがいくつかありますが、昨今枝葉の剪定が頻繁に行われるようになり、残念ながら昔のようにたくさんのドングリを結実した姿を見る機会が少なくなってきました。三田屋さんには、今後もこれらの樹木を大切に維持管理していただけることを切に願っております。