雑記508. 2023. 9.30
“ まだ秋なんですけど... ”
数年前から、採集してきたドングリの芽生えの様子を観察しています。一般に、成熟して樹から落下したドングリは、しばらくすると首回りの果皮が裂けてそこから発根します。その後、根は地中深くまで延伸し、春になると地上に露出した根が割裂して芽が現れます。
私がドングリを芽生えさせるプロセスはありきたりのもので、購入してきた園芸用の土に無作為にドングリを蒔き、連日丁寧に水やりをしながら、発根したものの一部を選別してビニール製の簡易植木鉢に移し替えます。そして、そのまま春の芽生えを待つのですが、今年は10月前だというのに猛暑日が続いているせいか、現時点で8月から9月にかけて採集した芽生え観察用のドングリの内の4つが、発根して半月も経たないのに芽生えてしまいました。
それらの中の3つは、大阪公立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] で8月下旬に採集したフモトミズナラのドングリで、1つは既に根から現れた茎が20mmを超えています(図8-508-1参照)。
他の2つは、根から5mm程度の茎が現れたもの(図8-508-2参照)と、根が割裂してじきに茎が現れそうなもの(図8-508-3参照)がそれぞれ1つずつです。
そして、フモトミズナラのドングリ以外に1つだけですが、9月1日に港湾緑地南公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で採集したカシワのドングリも、茎の長さはまだ10mm弱ですが、確実に芽生えています(図8-508-4参照)。
植木鉢に入れたこれらの写真だけだと、本当にこの時期に撮影したものかどうか疑念をもたれる方もおられるでしょうから、季節感のあるものといっしょにこれらを撮影しました(図8-508-5参照)。
奥の左側がカシワ(図8-508-4参照)、右側がフモトミズナラ(図8-508-1参照)の植木鉢です。そしてちょうど今時分の旬の産物として、毎年10月中旬に結実する個体から採取したアベマキの未熟なドングリと、近所の雑木林のクリの樹から落下した実(中央の大きな実は持ち去られていました)、それからこれも近所の街路樹として植栽されている栃の樹から落下した実を撮影当日に採集してきて、植木鉢の手前に並べています。
このような事象がしばしば起こりうるものかどうか、芽生えの観察歴が短い私には判りませんが、とりあえず現状だけ報告致します。なお、植木鉢はあまり日の当らないところに置いてますので、猛暑の影響があるとすれば、日照量ではなく外気温が早期の芽生えに関与しているのかもしれません。
(追記)
上記の報告からおよそ1週間が経過した時点(10月 7日)で、芽生えたドングリの数は全部で10個になりました。カシワは1つのままですが、フモトミズナラがさらに2つ芽生えて全部で5つになりました。そして、あらたに摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] で採集したアベマキが4つ芽生えました(地上に露出した根が割裂したものも含む)。
図8-508-6の手前がアベマキ、2列目がフモトミズナラ、そして一番奥がカシワです。これらは、どれも8月20日〜9月5日の期間内に採集したドングリで、それ以降に採集したもので芽生えたものは現在のところゼロです。