雑記505. 2023. 9.18
“ アフロヘアのような殻斗 ”
 8月の中旬から下旬にかけて、大阪公立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 (旧大阪府立大学) ] の構内にある2体のフモトミズナラにドングリが結実しました(*)。そして9月になって、あらたに第3の個体にもドングリが結実しました(図8-505-1参照)。
  * 雑記503、504を参照願います。

 第3の個体から採集したドングリは、8月に採集した2体のドングリとはまた違った形をしていました。堅果はへそに近い部分が最も太く、なおかつ首から肩にかけて平坦なので、真横から見るとやや高さのある台形に見えました。一方、鱗片が大きく隆起した殻斗は、外径が27mm前後の大きなものもあり、堅果を覆うその姿はまるでアフロヘアのようでした。


 以上、3回に亘って大阪公立大学に植栽されたフモトミズナラのドングリを紹介してきましたが、同構内で採集したものも含め、これまで京阪神で観察してきたドングリには概ね5つの共通点がありました。

(共通点 その1) 堅果の首回りが陥没している。
(共通点 その2) 堅果のへそのサイズが胴直径の半分以上を占める。
(共通点 その3) 結実したばかりの果皮は焦茶色である。
(共通点 その4) 奥行の浅深はあるが、殻斗は基本王冠型である。
(共通点 その5) 発現した多果が結実しやすい傾向がみられる。
 これらの共通点のうち2〜5については、いずれもコナラよりもミズナラに多く見られる形質です。分類学上、フモトミズナラはコナラの変種という見解もあるようですが、ドングリの形態を見る限り、多くの点でコナラよりもミズナラに近いことは明らかです。

 ところで、大阪公立大学の構内には4体のフモトミズナラがありますが、残りの1体については今回あまり実りが良く無かったこともあり、少ししかドングリが採集できませんでした。そんなわけで、この個体のドングリについては来年以降に採集できた時にあらためてご報告させていただきます。