雑記504. 2023. 9.14
“ 二回り大きなドングリです ”
先月の中頃、大阪公立大学 [ 所在地 : 大阪府堺市 (旧大阪府立大学) ] の構内にあるフモトミズナラの1体にドングリが結実しました(*)。さらに、それから1〜2週間が経過し、今度は別の個体にもドングリが結実しました(図8-504-1参照)。
* 雑記503を参照願います。
この個体のドングリは、盆前にはまだ薄い緑色をしていたので、熟すまでにはあと半月ぐらいかかるだろうと思われましたが、予想に反して急速に色づき、8月の下旬には地面にたくさんのドングリが落下していました(図8-504-2参照)。
最初に採集した第1の個体(*)のものと比べて、今回採集した第2の個体のドングリは二回りぐらいサイズが大きく、堅果には首から肩、胴にかけて白い微毛が密生していました。また、首回りの果皮の陥没も認められました。一方、殻斗は第1の個体と同様に王冠型で、鱗片の隆起が顕著でした。
京阪神では、フモトミズナラはあまり植栽されていませんが、これまで採集したドングリには多果形態のものがしばしば見られます。今回採集したものの中にも、明確に2果と判別できるものが1つありました(図8-504-3参照)。
ブナ科の樹木は、樹種によらず大なり小なり多果を発現しますが、明確に多果と判別できるドングリが結実するのは、シラカシのような特定の樹種を除くと稀です。ただ、ミズナラはシラカシほどではありませんが、比較的多果ドングリを結実しやすい傾向があります。そういう点でフモトミズナラは、多果ドングリを全くと言っていいほど結実しないコナラよりも、むしろミズナラに近い形質を保持しているのかもしれません(**)。
** 多果ドングリの詳細については、セクション3-1-2を参照願います。
次回は、第2の個体から遅れること約2週間、第3の個体に結実したフモトミズナラのドングリをご紹介します。