雑記495. 2023. 5. 7
“ いつにもまして長〜い☆ ”
カシワの果軸は、クヌギやウバメガシのように10mm前後の比較的短いものが一般的ですが、個体によってはその数倍もある果軸を着けるものがあります。図8-494-1はドングリを結実したカシワの果軸の例ですが、一般的なカシワの果軸 [ 図8-495-1(a)参照 ] に比べて、極端に長い果軸 [ 図8-495-1(b)参照 ] は40mmもあります。
また、1本の果軸に結実するドングリの数は、果軸の長短に関わらず概ね1〜3個ですが、開花して間もない花軸(果軸)を見ると、極端に長い花軸では結実数を大幅に上回る開花数が認められるケースが多々あります。因みに、両者の好例を図8-495-2(一般的な花軸)と図8-495-3(極端に長い花軸)に示します。
私は京阪神の随所で、これまでにもしばしば極端に長い果軸を着けるカシワを何体も目撃してきました。ただ、それらは長くてもせいぜい40mm程度のものでした。ところが、先日港湾緑地南公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] の個体で、従来のものを大きく上回る80mm強の花軸(果軸)を目撃したのです(図8-495-4参照)。
花軸の長さも然ることながら、そこには普通の雌花序といっしょに両性花序や開花せずに殻斗の元になる器官のままの状態のものまで、実に20個以上もの花の痕跡が認められました。
国産のコナラ属の樹木を独自に調査してきた結果、このような規格外の長い花軸(果軸)を着けたり、普段あまり目にすることがない両性花序(両性形態の花序)を咲かせる個体は、経験的に多果を発現しやすい傾向にあるのですが、残念ながらカシワについては未だにその姿を確認できておりません(*)。
* 様々な樹種における多果ドングリ(幼果含む)については、セクション3-1-2を参照願います。