雑記494. 2023. 4.28
“ 苞葉による面白い造形 ”
 ドングリの雌花序の腋にある小さな苞葉は、開花してから短時日のうちに脱落しますが、時々枯れずに雌花のサイズよりもはるかに大きく成長するものや、稀にドングリが熟すまで残留して殻斗の付根に残留するものもあります。
 
 図8-494-1は、アラカシの雌花序の腋で少しばかり成長した苞葉の例です。苞葉はほとんどが脱落してしまうので、普通我々が目にするのはこの図のような光景ですが、
高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のアラカシの中に、雌花序の腋に残留した苞葉が面白い造形を見せてくれる個体があります。

 図8-494-2は、その個体で撮影した苞葉のある雌花序の例です。大きく成長した苞葉のある雌花序が、花軸の左右に2つも見られますが、この個体では同様のシチュエーションが一本の枝に1箇所か2箇所もあるのです。

 
 しかも、それらの中には雌花序のサイズも含めて花軸に対する配置がシンメトリックなもの(図8-494-3参照)が多く、花軸全体で見ると、まるで翼をもつ物体が空を飛んでいるかのようです♪

 
 これらは、私が10年前に初めて高塚山緑地を訪れた時から、毎年変わらず目にしてきた光景です。とりわけ、今年は翼が2つのみならず、3つもある物体まで見つかりました(図8-494-4参照)。苞葉がこのような形に残留しやすいのは、たぶんこの個体に特有のものなのでしょう。