雑記492. 2023. 4.18
“ 果軸に密集した幼果群 ”
 昨年の10月、高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のウバメガシに奇妙な花序が出現しました(図8-492-1参照)。それまで、この時期に咲くウバメガシで私が目撃した花序は、いずれも20mm以上ある花軸に、ある程度の間隔をおいて雌花が咲いていました。ところが、この個体に出現した花序は全て10mmに満たない短かなもので、そこにたくさんの雌花が密集していたのです(*)
* 詳細は、雑記476を参照願います。

 
 開花してからおよそ半年が経過した先日、これらの花序を確認してみました。すると、花軸の根元に近い部分を中心に、密集していた雌花の多くが、小さいながらも殻斗の形が鮮明に見て取れる幼果へと姿を変えていました(図8-492-2参照)。

 昨年の10月には4本あった雌花軸は、1本が脱落して現存するのは3本です。その内の2本については、開花時とほとんど変わらない形態の幼果が先端付近に密集していましたが、残りの1本には果軸全体に殻斗の形が明瞭な幼果が認められました(図8-492-2 最下段参照)。当初は、花軸の先端付近に高次の多果の花が咲いているかのようでしたが、現在の様子を見る限り、これらは多果ではなく単果の集合体と考えて間違いないでしょう。引き続き、この果軸の幼果の成長過程をトレースしていきます。