雑記483. 2023. 1.10
“ 今回も多果ドングリをゲット〜☆ ”
 第3回 久米島ドングリ探検ツアーの初日は、北部山岳地帯のだるま山のドングリの落下状況を見て廻りました。とりわけ印象的だったのは、多数のオキナワウラジロガシがたくさんの変形ドングリ(*)を落としていたことでした。
 変形ドングリについては、ツアー期間中に見た目が良好なもの(割れや大きな傷が無いもの)だけを選別採集しましたが、自宅に持ち帰って数えてみたら全部で232個もありました。図8-483-1はその例ですが、これらの中には多果として発現したものの、最終的に単果として結実したと思われるものが7割近くもありました。
* セクション3-2を参照願います。

 これだけ大量の変形ドングリが落ちているということは、それらの中に多果ドングリが混在している可能性が高いことが予想されたので、変形ドングリがたくさん落ちている個体の樹下を中心に、ドングリを入念にチェックしました。その結果、前回のツアー(**)の収穫を上回る3つの多果ドングリをゲットしました(図8-483-2参照)。
** 雑記246を参照願います。

 以下に、採集した3つの多果ドングリのディティールを紹介します。

 図8-483-2の@は、2果の殻斗です。この殻斗は、2つの独立した堅果を包含していたと思われますが、残念ながら該当する堅果は殻斗が落ちていた辺りには見当たりませんでした(図8-483-3参照)。

 図8-483-2のAは、1つの殻斗が2つの独立した堅果を包含した2果のドングリです。一方の堅果は細くてちっぽけですが、殻斗と堅果の両方が揃った完璧な多果ドングリです(図8-483-4参照)。

 図8-483-2のBは、2つの堅果が合着した2果に見えますが、この図の背面やへそ、もしくは首の側から見ると、もう1つの細長い堅果が合着している様子がハッキリと見て取れることから、3つの堅果が合着した3果であることが判ります(図8-483-5参照)。

 
 前回のツアーで採集したものも含めると、これで4つの多果ドングリ(殻斗、もしくは堅果単体のものも含む)を採集したことになりますが、他の種類と同様に、オキナワウラジロガシにも様々な形態の多果ドングリが存在することが判りました。また、今回調査した変形ドングリや多果ドングリの結実状況から推測すると、オキナワウラジロガシでは多果ドングリはそれほど珍しいものではなく、アカガシやツクバネガシ、ウラジロガシといった比較的多果ドングリを結実しやすい樹種と
同程度に、多果ドングリを結実しているものと思われます。

(補記)
 北部山岳地帯には、オキナワウラジロガシよりもはるかに多くのイタジイが分布しています。イタジイ(オキナワジイ)はスダジイの亜種ですが、果実の形態は本土のスダジイに見られるバリエーションの範囲内なので、ドングリの外観から両者を識別することは困難です。

 今年はオキナワウラジロガシと同様にイタジイも大豊作で、山道のあちこちに大量のドングリが落ちていました。落下のピークは既に終了しており、どのドングリにも果皮の退色が認められました。図8-438-7は、初日に飯田さんから頂いた2果の合着した堅果です。スダジイの多果ドングリと全く同じ形態ですが、探検ツアーの記念に自宅に持ち帰って大切に保管しています。