雑記048. 2011. 8.14
“ ドングリの大敵 ハイイロチョッキリ ”
 ハイイロチョッキリは、とても愛嬌のある姿をした昆虫ですが、ドングリにとっては生命を脅かす大敵です。よく知られているように、ゾウムシ類の昆虫は堅果の中に卵を産み付けて、幼虫の揺り籠としてドングリを利用するだけではありません。ドングリの花が開花して一ヶ月も経たない頃から、幼果の側面に口吻を突き刺して、そこから樹液を吸い取り、ドングリを枯死させてしまうのです。

 先日、兵庫県神戸市にある掖谷公園で、シラカシの多果ドングリの幼果を観察していた時にも、たくさんのハイイロチョッキリに遭遇しました(図8-48-1参照)。食事中のものや、ドングリの上でのんびりと休憩をしているもの等、実に大らかで伸び伸びと過ごしており、同園にあるシラカシの木々は、宛らハイイロチョッキリの楽園と化していました。せっかくここまで成長してきた多果ドングリ達も、彼らの旺盛な食欲によって、多くが無惨な姿に変わり果てていました(図8-48-2参照)。

 現在、“ ドングリの食害対策 ” と題して、ドングリが昆虫達から身を守る為に、具体的にどのような手段を講じているのか、これまでに私が独自に調査したデータを元にまとめている最中です。年内には、新規セクションを設けて御紹介する予定です。
 ドングリ達が、その種類や個体別に色々な工夫を凝らして食害に抗している姿を目の当たりにすると、彼らの素晴らしさをあらためて実感出来ると思います。

 余談になりますが、私のHPにある写真は顕微鏡やスキャナーを利用したものを除くと、全て普通のデジカメ [ SONY製 Cyber-shot Exmor R 10.2MEGA PIXELS ] で撮影したものです。大層な機材を持ち歩くのが嫌いなので、昔から手軽で安価なデジカメしか使ったことが無いのですが、最近のカメラ技術の進歩には本当に感心させられます。

 10年ぐらい前に購入したデジカメは、接写は勿論のこと、風景を撮影しても、少し照度が足りないとピンボケばかりで、撮影していて楽しいと感じたことは一度もありませんでしたが、最近のものは驚くほど高性能なんですね〜♪今回のシギゾウムシの写真もそうですが、5〜10cmまで被写体に接近しても、余裕でピントを合わせることが出来ます。状況によっては、2〜3回ぐらい焦点が合わなくて、多少の試行錯誤が必要な場合もありますが、それでも以前のものとは比較にならないぐらいハイレベルです。
 私の採集活動を下支えしてくれる周辺技術の革新に、心から感謝しています。