雑記476. 2022.11.14
“ 季節外れの奇妙な花軸 ”
 4〜5月に開花した後、稀に8〜10月頃に再び開花するウバメガシがあります(*)通常の花期以降に咲く花序は、枝の先端にある頂芽から普通葉を伴わない新枝が出現し、そこに複数の花軸が立つもの(図8-476-1参照)と、枝の先端にある頂芽から普通葉を伴う通常の新枝が出現し、そこに複数の花軸が立つもの(図8-476-2参照)の2つのタイプに大別されます。
* セクション22の2項を参照願います。

 
 ところで、ウバメガシに限らず、ブナ科の樹木には季節外れに開花する個体が少なからずあります。それらの多くは、ほぼ毎年のように季節外れの開花を繰り返しますが、高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のウバメガシは私が10年前に同地を訪れて以来、今年初めてこの時期に花を咲かせました(図8-476-3参照)。
 基本的な花序の形態は図8-476-2と同じタイプでしたが、他の個体で目撃した花軸は20mm以上あるものが主だったのに、この新枝に出現した4つの花軸はいずれも10mmに満たない矮小なものばかりでした。

 
 先月の中旬に見た時には、これらの雌花軸に花は咲いていませんでしたが、それから一月が経ってあらためてこの個体を見てみると、4つの花軸の内の3つに、まるでサボテンの棘のように小さな花がビッシリと咲いていたのです。
 これらの図を見る限り、個々の雌花のサイズは通常の花期に咲くものに比べると若干小さいように思われます。また、単果だけでなく多果も多く含まれているように見えるのですが...。引き続き、この奇妙な花軸の動向を注視していきます。