雑記470. 2022.10. 8
“ な〜んちゃって、インシグニス! ”
 服部緑地 [ 所在地 : 大阪府豊中市 ] では、毎年9月下旬〜10月上旬頃にたくさんのアベマキのドングリが結実します。今月の2日に訪れた時には、緑地内の至るところで多様な形態のアベマキのドングリが大量に落下していました。

 
 アベマキのドングリには、よく似た形態のクヌギのドングリと違って殻斗が肉厚で奥行が深いものが多く見られますが、とりわけ服部緑地で採集できる図8-470-2のドングリは、その堅牢な点において京阪神では他に類を見ないほどです。

 このドングリについては、このセクションの雑記Aでも紹介しましたが、殻斗の鱗片の大部分がパンチパーマをあてたように縮れていて、触感は石ころのように硬くてゴツゴツしています。私は年齢の割に握力が強い方(60kg)ですが、素手で殻斗を解体しようとしても全く歯が立たないぐらいの強固さです。
 堅果のサイズは平均的なアベマキのものよりもかなり小さめで、特筆すべき点は何もありませんが、殻斗を含めたドングリのサイズは服部緑地のアベマキの中でもトップクラスです。ただ、単純にサイズだけを見ると、実はもっと大きなドングリが服部緑地にはあるのです(図8-470-3参照)。


 前述した私の一番のお気に入りのドングリは、掌に3つは載りますが、最大のものになるとせいぜい2つまでです。ドングリはやや楕円形ですが、その長軸は大きいもので70mm弱もあります。堅果のサイズはアベマキとしては平均的かやや大きい程度ですが、殻斗を含めたその姿形は、コナラ属のドングリで世界最大と言われているインシグニス [ 学名 : Quercus insignis ] を彷彿させるデカさです。

 
 図8-470-4は、このドングリを側面から撮影したものですが、鱗片の裾が外側に開かずに、それらが本来露出している堅果を覆い尽くしているところも、このドングリの特徴の一つです。デカいだけでなく、大変魅力的な形をしています。