雑記047. 2011. 8.10
“ 予言的中! 6果のドングリは実在しました ”
コナラ属のドングリは、1つの殻斗の中に何個ぐらい堅果を包含することが出来るのでしょうか。これは、ブナ科の樹木を研究されている方は勿論の事、ドングリを愛して止まない私にとっても大いなる謎の一つです。我々が普段目にするものは最大でも3果ですが、はたして4果以上は実在するのでしょうか。
この謎に対して、今から4年前に私は変形ドングリ “ 変形くん ” のへそに見られる堅果と殻斗が癒着した痕跡を基に、コナラ属でも6果が存在することを予言しました(*)。今回、奇しくもその予言が的中し、シラカシで6果の幼果を採集するのに成功したのです(図8-47-1参照)。
6果の幼果を発見したのは、このHPでもお馴染みの兵庫県三田市にある深田公園です。この個体は、2年前に500個を超える多果を発現しましたが、それらの大半は幼果の段階で脱落しており、結実したのは全体の2割程度でした。但し、それだけの数量の多果を発現したにも拘わらず、その中に4果以上のものは含まれていませんでした。
このように、多果は幼果の段階で大半が脱落してしまうので、4果以上の多果が存在するとすれば、結実したものをチェックしていても拉致があきません。そこで、今年は6月下旬から、過去に多果を発現した実績のあるシラカシをしらみつぶしに探索して、落下した幼果を悉くチェックして回りました。調査を開始してしばらくの間は、こちらが選定した多くの個体が数百個レベルの多果の幼果を落としていましたが、4果以上のものはなかなか見つかりませんでした。
探索から一ヶ月以上が経過すると、ほとんどの個体で多果の幼果の落下する数が日増しに減少していく中で、徐々に諦めに近いムードが漂ってきました。ところが、7月下旬頃から逆に多果の幼果の落下する数が急激に増加している個体がありました。この個体は、現時点で900個以上の多果の幼果(図8-47-2参照)を落としましたが、その中に1個だけ6果の幼果がありました。さすがに6果ともなると、3果の様に殻斗の中で堅果が横一列に並んでおらず、三角形を横に二つ並べて各々の頂点に堅果を配置したような形をしていました。
今回の発見は、私の予言が具現化したこともあり感動も一入でした。実はこの個体から6果以外にも4果や5果の幼果が今なお落下し続けていますので、全ての集計が終わってからあらためてご報告します。ご期待下さい。
* 変形ドングリ “ 変形くん ” の詳細については、セクション3-2-1を参照願います。
(追記)
4果以上の多果の詳細については、セクション15 “ 究極の多果ドングリを求めて ” にまとめましたので、興味のある方はぜひご覧下さい。