雑記464. 2022. 9.12
“ いつもは普通のドングリなのに... ”
アラカシやシラカシのようなアカガシ亜属の樹木で、殻斗の裾の部分が波打つような形をしたドングリを大量に結実する個体をしばしば目撃してきましたが、コナラ亜属の樹木では遭遇した記憶がありません。強いて言えば、季節外れに開花する特殊なコナラで類似の殻斗を目にしたことはありますが、このような殻斗は個体の結実数からすればごく僅かでした。
ところが、先日塩瀬中央公園 [ 所在地 : 兵庫県西宮市 ] を探索していたら、結実したドングリの殻斗の大半が大なり小なり波打つように変形したコナラが見つかったのです(図8-464-1参照)。図8-464-2はその個体から採集したドングリのディティールです。
以前の調査から、この図のように殻斗が変形するのは、殻斗と堅果の成長のアンバランス(*)か、あるいは雌花序における殻斗の元になる器官の分裂(**)が原因であることが判っています。ただ、これまでにアカガシ亜属で目撃した個体では、どれも毎年のように結実したドングリの多くでこのような殻斗の変形が認められましたが、このコナラでは観察を始めてから現在までの7年間で初めての事でした(図8-464-3参照)。前記以外にも殻斗がこのように変形する要因があるのかもしれませんので、本件については引き続き調査してみます。
* 雑記296を参照願います。
** 雑記234を参照願います。