雑記461. 2022. 8. 4
“ 8月に咲いたマテバシイの花 ”
 マテバシイの花期は5月〜6月です。同種には、9月中旬〜12月上旬にかけて再び開花する個体もありますが、通常の花期との間に相当する7〜8月に花を咲かせるものには、なかなかお目にかかれませんでした。そんな中、高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で、一昨年の7月に花を咲かせている個体を見つけました。以来、まだ見ぬ8月の開花を求めて探索を続けた結果、昨年の夏に、ようやく山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] でその光景に遭遇することができたのです(図8-461-1参照)。
   * 雑記389を参照願います。

 図8-461-1は、7月末日に同園を訪れた時に撮影したものです。左側はこの個体の全体像ですが、画面中央の上方にある黄緑色の葉をつけた新枝の花軸に、咲いたばかりの花やこれから咲こうとしている花が認められました。その後、一週間が経って訪れた時には、この新枝の花軸はどれも満開でした(図8-461-2参照)。

 
 また、8月6日の時点で樹上には図8-461-3のような花軸を伴う新枝が散見されましたが、8月下旬に再訪した時にはこれらの花軸にもたくさんの花が咲いていました(図8-461-4参照)。

 この個体では、9〜11月にかけて開花している姿をこれまで幾度も目にしてきましたが、8月に開花していたのは私が知る限りでは昨年だけでした。おそらく、例年9月以降に咲く花が、昨年に限り偶々前倒しで開花していただけなのかもしれません
(**)
 ** 今年の7月末(31日)に同園を訪れましたが、この個体に花は咲いていませんでした。また、8月中に開花が期待できる新枝も見当たりませんでした。

 何はともあれ、これで5〜12月の全月でマテバシイの開花が確認できました。特殊な個体も含めて花期が長い点では、国産のドングリの樹ではマテバシイに匹敵するものとしてコナラ(***)が挙げられますが、コナラの場合は花期によって花序の形態が異なる上、6月以降に開花したものついては結実が確認できていません。それに対して、マテバシイの場合は花期によって花序の形態が変わらず、量の多少はあるものの結実が確認できています。そういう点から、マテバシイは国産のドングリの樹の中でもかなり特殊な存在と言えるのではないでしょうか。
 *** セクション22を参照願います。

(追記)
 先日、有馬富士公園 [ 所在地 ; 兵庫県三田市 ] を散策していたら、開花しているマテバシイを見つけました。これで8月の開花を確認したのは2体目です。この個体は、ほぼ毎年のように春と秋に開花しますが、8月に開花している姿を目撃したのは初めてです。樹上には、これから咲こうとしている新枝が散見されましたので、今年は9月以降に咲く花が少しばかり前倒しで開花したのかもしれません。