雑記046. 2011. 8. 7
“ こんな多果ドングリがあったんですネ☆ ”
今回は、超レア物のドングリの子供のお話です。
スダジイの3果のドングリは、発生段階の花原基が三角形であり、なおかつ殻斗の元になる器官に咲いた3個の雌花の配置も三角形であることから、3つの堅果が殻斗の中で三角形状に配列されるそうです。これは、以前私が荒山公園 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] で3果のドングリを大量に結実したスダジイを見つけた時にお世話になった “ Soyokaze さん ” からお聞きした話です。
一方、コナラ属の3果のドングリは、スダジイとは大分違っており、殻斗の中の3個の堅果はほぼ一直線に並んでいます。この形態は、コナラ属の花原基の形状によって決まっているのかもしれませんが、一ヶ月程前に深田公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] のシラカシを観察していたら、あろうことかスダジイの3果と同じ様に、堅果が殻斗の中で三角形状に配置した幼果を見つけました(図8-46-2参照)。これは私がこれまでに遭遇した多果の中でも、極めて珍しい形態の一つに挙げられます。
この幼果を見つけた個体は、昨年までごく僅かしか多果を発現したことがなかったのに、今年は珍しく大量の多果が樹上を賑わしていました。7月9日に初めて目にしてから、週末毎にこの幼果を観察するのを楽しみにしていたのですが、それから一ヶ月ぐらい経ってこの幼果は脱落してしまいました。
勿論、この幼果だけでなく、樹上にたくさんあった多果のほとんどが脱落していました(図8-46-4参照)。それらを見ると、故意に切除された形跡は無く、殻斗の付根部分に離層の様なものが形成されていて、自然に落下したように見えました(図8-46-5参照)。
やはり、多果が成熟するのはとても大変な事なのかもしれません。このシラカシに発現した多果の中で、無事に結実できるのは一体どれぐらいあるのでしょうか?
僅か一ヶ月程度でしたが、この超レアなドングリの子供との邂逅によって、とても刺激的な毎日を過ごすことが出来ました。結実しなかったのは残念ですが、このような形態の多果が現実に存在するものである事が確認出来ただけで十分満足でした。また、いつの日かこの手の超レアな形態の多果に巡り会えるのを楽しみにしています。