雑記459. 2022. 6. 9
“ かなり遅れて咲きました! ”
 一つの殻斗の元になる器官に複数の雌花が咲いたものを、このHPでは多果の雌花序と称しています(図8-459-1参照)。通常、多果の雌花序を構成する複数の雌花は、ほぼ同時期(一両日程度の差はあります)に咲きます。そして、それらの雌花の柱頭は花粉を受容する役目を終えると、すみやかに黒く硬化変色します。

 ただ、稀に多果の雌花序を構成する一部の雌花が、それ以外の雌花が咲いてから1週間ぐらい遅れて咲くこともあります(図8-459-2参照)。因みに、私が目撃したそういう雌花は、どれも単一雌蕊のものばかりでした。

 これらの多果の雌花序の成長過程を観察したことはありませんが、たぶん遅れて咲く雌花の開花前の状態は、図8-459-3のような感じではないかと思われます。

 このような開花の遅れは、ほとんどがせいぜい1週間ぐらいでしたが、先日2果の雌花序で2週間(*)近く遅れて咲いたものを見つけました(図8-459-4参照)。
* この個体は先月の15日頃に開花しました。

 そして、さらに1週間が経過してからこの雌花序を撮影したものが図8-459-5です。この個体で今年咲いた雌花の柱頭は、既に黒く硬化変色しており、殻斗の元になる器官からはどれも1層目の殻斗が出現していました。にも関わらず、遅れて咲いたこの雌花の柱頭だけが、未だ開花した時のままの鮮やかな黄色を呈していたのです。これまで相当数の多果の雌花序を観察してきましたが、こういうシチュエーションを目撃したのはこれが初めてです。