雑記451. 2021.12. 2
“ な〜んちゃって、パキロマ! ”
 掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にはたくさんのシラカシが植栽されています。中には、樹上にドングリの姿をほとんど見たことがないものも幾つかありますが、それらの内の1体に今年ドングリが結実しました。因みに、この個体で最後にドングリを目撃したのは2007年ですから、超久しぶりに結実したことになります(図8-451-1参照)。

 当時は、現在ほどドングリのディティールに着目していなかったので、この個体のドングリが同種の中でも比較的大きかったことしか記憶に残っていませんが、今回あらためて採集したものを観察すると、サイズだけでなく、かなり特異な形をしていることが判りました(図8-451-2参照)。

 
 まるで、大きな殻斗にそれよりもかなり小さめの堅果をハメ込んだかのように見えます。勿論、撮影するに当たって小細工等は一切していません。これが、このドングリのありのままの姿です。
 
 殻斗の裾の部分が波打つような形をしたドングリなら、以前雑記201で紹介したことがありますが、そのドングリは大きさが普通のシラカシ並で、殻斗の裾と堅果がほぼ密着していました。ところが、このドングリはシラカシとしてはかなり大きめで、しかも殻斗の裾と堅果の間に十分な空隙があるので、パッと見殻斗の形態が魅力的な外国産の “ パキロマ [ 学名 : Quercus Pachyloma ]
(*) ” のドングリを彷彿させます(図8-451-3参照)。
* 中国南部に自生する一年成のドングリの木です。

 どうでしょう?こうして両者を並べてみると、小ぶりながらパキロマのお仲間のように見えませんか??シラカシの殻斗がこのように波打っているのは、殻斗と堅果の成長バランスが崩れたせいだと私は考えております(**)。きっと、パキロマの殻斗もこれと同じようなメカニズムで波打っているのではないでしょうか。
** メカニズムの詳細については、雑記234を参照願います。