雑記448. 2021.11.16
“ もっと実りのいいシラカシ ”
 国産のコナラ属の樹木の中で、果軸当りの結実数が最も多いのはシラカシです。雑記446では、10〜11個のドングリが結実した果軸を紹介しましたが、ドングリではなく堅果の数に着目すると、それらをさらに上回る実りのいい果軸が見つかりました。

 1つの殻斗が複数の堅果を包含したドングリを、このHPでは多果ドングリと呼んでいます(図8-448-1参照)。国産のドングリの樹について見ると、シラカシにおける多果の発現率は他の樹種とは比べものにならないぐらい高く、開花時にはほとんどの個体で多果の雌花を目にすることができます。但し、発現率は高くても結実するものはごく僅かで、1つの個体に数個ぐらいが一般的です。
 ところが、中にはその個体における単果の結実数に匹敵するぐらい大量の多果を結実するものもあります。今回紹介するウッディタウン中央公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] にある個体もその1つです(図8-448-2参照)。

 
 図8-448-2は、この個体の典型的な新枝の様子を撮影したものですが、とにかく全ての新枝に1〜2個ではなく、それ以上の数の多果が結実します。ドングリが実る年には、必ずと言ってもいいぐらい数10個レベルの多果を結実しますが、今年は樹上をざっと見渡しただけで、500個は軽く超えていました。因みに、この個体で今年と同程度の大量の多果を結実したのは、5年前の2016年になります。

 樹上に結実した様子を撮影しても、果軸に結実したドングリの半分ぐらいしか写すことができないので、多果が結実した果軸を採取して、全ての堅果が見える状態で撮影したものを図8-448-3に示します。これをご覧になれば、この個体の多果の結実状況がいかに良好であるかがお判りいただけるでしょう。

 先日この個体で、果軸に結実したドングリの数ではなく堅果の総数を調べていたら、なんと13個もの堅果を結実した果軸が見つかりました(図8-448-4参照)。この図からは明確に判別できませんが、この果軸は3つの単果と4つの多果(2果×2個、3果×2個)で構成されています。これ以外にも、11個が結実した果軸が4つと12個が結実した果軸が2つ見つかりましたが、13個のものはこれだけでした。それにしても、この実りの良さは圧巻ですね〜♪ まるで、シリブカガシの果軸(*)を見ているかのようです☆
* セクション19のシリブカガシの項を参照願います。