雑記442. 2021.10.12
“ これが一年成のアベマキのドングリです☆ ”
 年成というものが、その植物に固有の不変的な性質だと考えておられる方は、それをあらためるべきかもしれません。セクション31で、私は二年成のドングリの樹が、将来的に一年成に転換すると申し上げましたが、この秋、それが強ち荒唐無稽な話ではないことを示唆する絶好の機会が訪れました。


 先日、西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] のアベマキで、今年の春に開花した果実が、昨年の春に開花した果実と同じぐらいのサイズにまで成長したものを見つけました(*)。ただ、その時点では、ターゲットが樹上の高所にあったので、殻斗の内側に包含されているはずの堅果の存在までは確認できませんでした。
 そこで、今回はそれを確認すべく、自宅から高枝切りバサミを持参し、それをもって年甲斐もなく木によじ登って、苦労の末ようやくターゲットが着いた新枝を採取しました。
* 雑記441を参照願います。

 早速殻斗の中を見てみると、まだ黄緑色で完熟ではありませんが、そこには立派な堅果が存在しました。図8-442-3は、この果実がついた枝の横に昨年の春に開花した果実を載せていっしょに撮影したものですが、両者の堅果のサイズが同程度であることは一目瞭然です。念の為、後日殻斗から堅果が取り外せる状態になったら、堅果の重量を測定してみるつもりです(測定結果については、あらためてご報告致します)。

 今回目撃したものが本当に転換の始まりかどうかは、今後さらなる調査が必要ですが、少なくともこの一件で、二年成のドングリの樹でも一年成の樹と同程度の期間内に結実できることが立証されたものと私は考えております。

(参考)
 ドングリの樹についてあまり詳しくない方のために、二年成と一年成の果実が着いたアベマキの枝の構造を図8-442-4にまとめてみました。一年成の果実が着いた枝には、二年成には見られない特徴があることが、これでお判りいただけるでしょう。