雑記433. 2021. 8.12
“ 他の2つが追走 ”
 今年の4月、西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] でアベマキの花軸の根元に咲いた小さな雌花序(*)を見つけました。当初は、花軸とその腋に立つ葉柄との間に挟まれて、今にも圧し潰されそうな感じでしたが、それから2ヶ月が経過すると、驚いたことに同じ花軸にあった他の2つの雌花序を差しおいて、この雌花序だけが倍以上のサイズにまで成長していたのです(図8-433-1参照)。
* 雑記422を参照願います。

 その形態を見る限り、この幼果は明らかに二年成のルールを無視しており、若干の遅れはあるものの、昨年の春に開花したものと同様に、今年の秋の結実を目指して成長し続けることが予想されました。そして案の定、7月中旬頃に確認してみると、1ヶ月程度のタイムラグで、昨年の4月に咲いた幼果を追走していました(図8-433-2参照)。」

 ところが、この幼果(A)から遅れること約1.5ヶ月、他の2つの幼果の一方(B)にもルール違反の兆しが現れたのです(図8-433-3参照)。

 そして、それからさらに10日が経つと、前2者に刺激されたかのように、残りの1つの幼果(C)にも同様の兆しが現れたのです(図8-433-4参照)。これで同じ果軸にある3つの幼果が、全て二年成のルールを無視したことになりました。幼果(C)は、昨年開花した幼果に比べて3ヶ月弱のタイムラグがあるので、この秋の結実は難しいと思われますが、幼果(A)は1ヶ月前後のタイムラグしかありませんから、結実する可能性は十分あると思います。
*** 雑記354を参照願います。

 ここでは、この果軸にある幼果だけにスポットライトを当てていますが、今年もこの個体ではたくさんの幼果が二年成のルールを無視しています。セクション31-2で詳解した私の仮説(二年成は将来的に一年成に転換する)を立証するために、これらの中から一つでもこの秋に結実してくれると有難いのですが...。