雑記419. 2020.12.10
“ シラカシによく似ていますが... ”
 アラカシとシラカシのドングリは、堅果を見ただけで100%識別することができます。一番大きな違いは、シラカシの堅果の首回りに細かい毛が密生しているのに対し、アラカシはほぼ無毛であることです(*)。無毛と言っても、ミクロに見るとアラカシの首回りにもうっすらと毛が生えているのですが、その量はシラカシの比ではありません。
* セクション20-1を参照願います。
 ただ、アラカシ全体で見るとごく僅かですが、堅果の毛の有無にだけ着目していると、両者の識別が困難なケースもあります。図8-419-1はその好例です。


 図8-419-2は、図8-419-1のドングリの首回りを拡大したものです。これを見ると、首回りにだけシラカシと同じぐらい細かい毛が密生しています。ただ、アラカシの場合は首回りに密生している毛の付着力が弱く、布で軽く擦るだけで簡単に剥落するので、これが両者を識別する際の一つのポイントになります(図8-419-3参照)。

 
 さらに、アラカシの堅果は首と肩の区別が明確ではありませんが、シラカシでは輪状構造物(圧迫痕)のある首と肩の境界部分に大なり小なり窪みがあるので、首と肩を明確に区別できます(図8-419-4参照)。

 以上、これらの点に着目すれば、たとえ首回りに細かい毛が密生したアラカシのドングリでもシラカシと間違えることはないでしょう。