雑記414. 2020.11.16
“ ミクロの世界に見る戦国の世の教え ”
 ドングリのへその反対側にある小さな突起を花柱と呼びます。これは、ドングリの元になる雌花が受粉するための部位ですが、受粉後は硬化して脆くなり、少しばかり物理的な衝撃が加わると欠損してしまうことが多々あります。とりわけ、ウラジロガシの花柱はとても繊細(図8-414-1参照)で、成熟して樹上から落下した衝撃で簡単に欠損してしまいます。

 ところが、様々なウラジロガシのドングリを観察していると、1本1本の花柱は繊細でも欠損しにくい構造があることに気づきました。図8-414-2は、欠損しにくい花柱をもつドングリの例です。


 このドングリの花柱を拡大してみると、1本1本は普通のウラジロガシと同じように繊細ですが、花被片から露出した花柱の根元から高さ方向の半分ぐらいのところまでが、しっかりと束になっているのが判ります(図8-414-3参照)。1本1本は脆弱でも、それらが合わさって一つになることで、ある程度の衝撃に耐えうる強度を確保したのでしょう。まるで、 『毛利元就の3本の矢の教え』 を体現したかのようなドングリですね☆