雑記409. 2020.10.22
“ 北海道のお土産 ”
 先週の火曜日、夕方帰宅したら郵便物が届いていました。いつもお世話になっている編集工房ノームの飯田さんからでした。開封したら、中にヨーロッパブナ [ 学名 : Fagus Sylvatica ] のドングリが入っていました(図8-409-1参照)。取材で北海道に出掛けた折りに、北海道大学の附属植物園で採集されたそうです。開封した直後はまだ新鮮な状態で、堅果は濃い焦茶色をしていました。これまでにも、退色したものなら何度か目にしたことがありますが、このように新鮮なドングリを手にしたのはこれが初めてでした。素敵なお土産をありがとうございました。
 ヨーロッパブナは、ヨーロッパのほぼ全域(東はトルコの辺りまで)に自生しており、典型的なものは樹高が25〜35m、幹直径が1.5mもある落葉高木です。主に鑑賞用の樹木として、世界中の温帯地域の公園や庭園に植栽されています。

 早速、送っていただいたドングリを拝見したところ、殻斗の鱗片が長く密生している点を除けば、国内に自生する普通のブナのドングリとそっくりでした(図8-409-2参照)。国産のブナの中にも、このように鱗片が長く密生しているものがありますし、以前何度か目にしたヨーロッパブナの殻斗にも鱗片の長短が認められましたので、たぶんこの点はヨーロッパブナに特有の形態的特徴とは言えないのでしょう。

 
 ところで、京阪神にも森林植物園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にヨーロッパブナが数体植栽されています。それらは、どれも幹直径が250〜300mm程度の比較的若い個体です(図8-409-3参照)。これまでドングリが結実する季節に、それらをチェックしたことは一度もありませんでしたので、来年以降機会があれば、この時期に訪問してみます。ただ、ブナと同様に、ヨーロッパブナの結実も気まぐれなことが予想されますので、ドングリに出会える可能性は低いかもしれませんが...。