雑記404. 2020.10. 6
“ 完全体をゲット〜! ”
 2017年の秋に、その外観からハッキリと2果と判るコナラのドングリを初めて採集しました(*)。但し、1つの殻斗が包含した2つの堅果の内、一方は成熟する1ヶ月程前に枯死してしまったので、完全体とは言えませんでした。
 ドングリの木は樹種を問わず多果を発現しますが、コナラの場合、雌花から果実に至るまでの間に、外観から多果と判別できるものを目にすることはまずありません。但し、季節外れに開花する個体では、例外的に多果の幼果を目撃することがあります
。但し、それらが結実することは極めて稀です。
* 雑記278を参照願います。

 以前、高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で採集した2果のドングリも、季節外れに開花を繰り返す個体に結実したものです。この個体も、ほぼ毎年のように多果の雌花を咲かせますが、通常開花から2〜3ヶ月も経つと枯死してしまいます。そんなわけで、今年もあまり期待せずに春に開花した4つの多果の幼果の生育状態をモニターしていたところ、それらの1つがなんと奇跡的に結実してくれたのです☆

 
 以前結実したものと同様に、1つの殻斗が2つの堅果を分けて包含した堅果分離型殻斗の2果のドングリでしたが、今回は一方の堅果が枯死することなく、両方とも無事に成熟した完全体でした(図8-404-3参照)☆☆

 しかも、同じ個体に結実したのに、以前のものと比べて格段に大きなドングリでした(図8-404-4参照)。他のコナラ属の樹種にも共通していますが、普通の個体に比べて季節外れに開花する個体では、殻斗の元になる器官のサイズや子房を構成する心皮の数(花柱の数)のバラツキが大きいので、結実したドングリのサイズに顕著な違いが現れます。おそらく、以前採集したもの(*)は殻斗の元になる器官が少し小さめで、今回はやや大きめのものに咲いた花が結実したと思われます。それにしてもビックリするぐらい立派な多果ドングリです〜☆