雑記403. 2020.10. 2
“ 9月に咲きました ”
 一昨年の12月初旬、掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] でウラジロガシが開花しているのを目撃しました(*)。樹木全体で見るとその数量はごく僅かで、注意深く観察していなかったら、たぶん開花していることには気づかなかったと思います。

 この時期のウラジロガシの開花で特筆すべきことは、通常の春に咲くものと花序の形態が全く違うということです。雄花軸はやや短めで、軸が太いせいか垂下せずに立ち上がっています。一方、雌花軸は長く、両性でしかも多果形態のたくさんの雌花で埋めつくされており、普通の単果形態のものはほとんど見られません(図8-403-1参照)。以前開花を目撃した時には、開いたばかりの冬芽から開花したばかりの花軸が僅かに露出したものもあれば、既に雌花の花柱や雄花の葯が変色したものも混在していたので、咲き始めるのは11月上旬〜中旬頃ではないかと推測していました。
* 雑記331を参照願います。

 それ以来、このウラジロガシは勿論の事、アカガシ亜属の樹木全般について注意深く観察してきた結果、昨年は皆無でしたが、先日同じウラジロガシで1箇所だけ雄花が開花している新枝を見つけました(図8-403-2参照)。念のために、この個体の冬芽を隈なく調べましたが、近日中に開く気配があるものは認められませんでした。

 アカガシ亜属の樹種で季節外れの開花を目撃したのはこの個体だけですが、アカガシ亜属でもコナラ亜属と同様に、個体によっては季節外れに開花するものがあること、そしてその花期はだいたい9〜12月頃であることは間違いないでしょう。