雑記399. 2020. 9.16
“ 別種のタマバエ?? ”
高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] でマテバシイのドングリを採集していたら、久しぶりにタマバエの幼虫(*)に遭遇しました。樹上に結実したマテバシイのドングリの殻斗から堅果を取り外すと、偶にオレンジ色の細長い幼虫が殻斗の内側や堅果のへそにくっついていることがありますが、これがタマバエの幼虫です。
ドングリに寄生するこのタマバエの生態について調べた結果、幼虫は殻斗と堅果が繋がっている部分に寄生していて、8月〜9月にかけてドングリの外に脱出した後、10日前後で羽化することが判りました。9月中旬以降もドングリの中に潜伏している幼虫も居ますが、それらの多くは堅果と殻斗が強固に繋がっている(離層の形成不良)せいで、脱出できずに残留を余儀なくされているのではないかと思われます。
* セクション9-2を参照願います。
この日も、樹上でガッチリと殻斗に貼り付いた堅果を力づくで外してみると、そこに20匹以上の幼虫が蠢いていました。たぶん、上述したように脱出できずに四苦八苦していた幼虫だと思います。ただ、今回はいつも見慣れたオレンジ色の幼虫よりも、半透明の乳白色の幼虫が大半を占めていました。乳白色の幼虫はオレンジ色のものに比べて、どれも体長が半分ぐらいで、幅も1/2以下と細めでしたが、オレンジ色のものよりも動きが活発でした。
実は、これまでにも少数ながら乳白色の幼虫を目にしたことはありますが、殻斗と堅果を分離した時期が遅かったせいかいつも動きが緩慢だったので、オレンジ色の幼虫の小さめのものが衰弱して変色したとばかり思っていました。
マテバシイのドングリの殻斗と堅果の繋がった部分に寄生するタマバエは、これまでにもオレンジ色のもの以外に、黄色のものも確認(**)していますが、もしかすると今回目にした乳白色の幼虫は、ドングリに寄生する第3のタマバエなのかもしれません。
** 雑記277を参照願います。
当日はドングリの観察に専心していたせいで、乳白色の幼虫を採集して自宅に持ち帰って羽化するかどうか試してみることをすっかり忘れていました。本件については、またの機会にあらためて挑戦してみるつもりです。