雑記387. 2020. 6. 8
“ これなら合着するかもしれません ”
 同じ果軸にある2つの雌花序が近接すると、極めて稀にそれらの殻斗の元になる器官同士が合着することがあります(*)。但し、殻斗の元になる器官から出現した互いの殻斗が合着した事例については、未だ確認できておりません。
* 雑記346を参照願います。

 昨年の夏、マテバシイの果軸で見つけた2つの幼果(図8-387-1参照)についても、両者の殻斗の元になる器官が合着しているように見えましたが、先日成長した姿を確認したところ、残念ながらそれぞれの殻斗の元になる器官から出現した殻斗同士は合着していませんでした(図8-387-2参照)。


 そんな状況下で、今回あらたに検証に値するサンプルが見つかりました。山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] に植栽されたマテバシイで、開花したばかりの2つの雌花序の殻斗の元になる器官が、とってもいい感じに合着していたのです(図8-386-3参照)。
 図の赤枠で囲んだ部分を見ると、1つの殻斗の元になる器官に3つの雌花が咲いた3果の雌花序が3つ(3果-1〜3)隣接していますが、合着しているのはその内の [ 3果-1 ] と [ 3果-2 ] です。残りの [ 3果-3 ] も前二者にかなり近接していますが、合着はしていません。

 図8-387-4は、図8-387-3の角度を変えて撮影したものです。こちらから見ると2つの雌花序がはっきりと合着している様子が判ります。最初目にした時は、1つの殻斗の元になる器官に6つの雌花が咲いた6果の雌花序かと思いましたが、それにしては殻斗の元になる器官と果軸との接合面積が普通の雌花序の倍以上あったので、これは6果の雌花序ではなく、2つの3果の雌花序が合着したものであると判断しました(**)
** 雑記216を参照願います。

 おそらく、このサンプルの成長過程をトレースすれば、隣接する2つの殻斗が合着するかどうかハッキリすると思います。殻斗が出現するのは来年の今頃なので、一年間気長に結果を待つしかありませんが、これでまた楽しみが一つ増えました♪