雑記381. 2020. 4.27
“ まだ鈴生りです☆ ”
 今月の11日、HPをご覧になられたKさんからメールを頂きました。そこには、4月に入ってもいまだにドングリが鈴生りのシリブカガシが金岡公園 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] にあると書かれていました。現在全国に新型コロナが蔓延しており、不要不急の外出は控えなければなりませんが、私の実家が同じ堺市内にあるので、しばらく顔を見せていない両親の様子見も兼ねて出かけてみることにしました。

 金岡公園は、私がよく行く大泉緑地 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] の近くにある広大な公園です。大きいと言っても、園内の大半は競技場やプールなどの遊具施設が占有しているので、植栽されている樹木の数はそれほど多くありません。今回、Kさんに教えていただくまで全く記憶に無かったのですが、園内のプールを見た瞬間、子供の頃に友達といっしょにここに来たことを思い出しました。

 さて、Kさんが詳細な地図を添付してくださったおかげで、このシリブカガシがある場所はすぐに判りました。そして、実際に現物を確認したところ、Kさんがおっしゃる通り、確かにこの個体の樹上にはドングリが鈴生りでした(図8-381-2参照)。

 
 通常、前年の秋に結実したシリブカガシのドングリであれば、前年の内に果軸ごと地面に落下するのですが、それから4〜5ヶ月が経過した今時分に、このような光景を目の当たりにするとは思ってもみませんでした。
しかも、ほとんど退色せずに青紫色のままの堅果が鈴生りになった果軸が多数残存していたのには、本当に驚かされました。

 樹下を見ると、堅果が僅かに落下していましたが、果軸ごと落下しているものは見当たりませんでした。また、樹上から果軸ごと採取しようとすると、枝と果軸がしっかりと繋がっていて容易に切り離すことができませんでした。

 たぶん、この個体は果軸と枝の間や殻斗と堅果の間に離層が形成されにくいせいで、いつまでも樹上にドングリが残存しているものと思われます。ただ、この時期にこれだけ鮮度が高い堅果を多数残していたことから、もしかすると普通のシリブカガシよりも花期が遅く、それに連動して結実する時期も普通の個体よりもずっと遅いのかもしれません。秋になったら、あらためてこの個体の様子を確認してみることにします♪

 ところで、この個体にはもう一つ驚かされることがありました。実は、普通のシリブカガシに比べて果軸がもの凄く長かったのです。これまでも150mmぐらいの果軸は目にしたことがありますが、200mmをはるかに超えるものは見たことがありませんでした。まるで、枝垂桜の枝のような秋咲のツブラジイの果軸(*)みたいで、長いものは240mmもありました(図8-381-4参照)。

 最後になりますが、貴重な情報を提供して下さったKさんには、ここであらためて御礼申し上げます。
* 雑記252を参照願います。


(追記1)
 8月3日にシリブカガシの様子を実見したところ、既に堅果が退色しているとは言え、いまだに結構な数の果軸が樹上に残留していました(図8-381-5参照)。それらは手で引っ張ったぐらいでは、容易に枝から脱落しませんでした。

一方、枝先にある冬芽が開き始めていたので、あと2ヶ月も経たない内に開花(一般的なシリブカガシの花期と同じ)するものと思われます(図8-381-6参照)。

 以上の点から、この個体で春になっても新鮮なドングリが樹上に鈴生りだったのは、想定した通り、果軸と枝の間や殻斗と堅果の間に離層が形成されにくいことが原因であると考えられます。

(追記2)
 2024年3月25日、実家に立ち寄った帰りに長居植物園 [ 所在地 : 大阪府大阪市 ] を訪問しました。ドングリ探索のオフシーズンなので、この時期に同園を訪れたのは今回が初めてですが、同時期に金岡公園で見たのと同様に、ほとんど退色せずに青紫色のままの堅果が鈴生りになったシリブカガシを3体確認しました(植栽されているシリブカガシは全部で10数体です)。いずれも、殻斗の堅果の間には不完全ではあるものの離層が形成されていましたが、枝と果軸との間には全く形成されていませんでした。