雑記379. 2020. 2.27
“ 磨けば光る☆ ”
 成熟したばかりのシリブカガシの堅果は、表面に白っぽい蝋状物質が付着しているせいで青紫色や赤紫色に見えます。ドングリとは思えないようなこの色彩に驚かれる方が多いようですが、この蝋状物質をきれいに拭き取ると、その下から拭き取る前の姿からは想像もできなかった、艶々した光沢のある美しい堅果が現れるので、二度ビックリしてしまうんです(図8-379-1参照)。グリコのキャッチフレーズではありませんが、“ 1粒で2度おいしい ” とは正にこういう事ではないでしょうか。

 シリブカガシの場合、この蝋状物質を拭き取る前後のギャップが激しいことから、磨くと光沢を放つドングリとして一般によく知られています。でも、この蝋状物質はシリブカガシだけではなく、実はどのドングリの表面にも大なり小なり付着しています。成熟したばかりのドングリが、どれも少しばかりくすんで見えるのはそのせいなんです。
 因みに、退色して薄茶色や黄土色になったドングリは、布で磨いてもあまり光沢を放ちませんが、成熟したばかりの瑞々しいドングリの中でも、とりわけ果皮が暗色系(濃茶色や焦茶色)のアラカシやシラカシ、ウラジロガシは、シリブカガシと同じぐらい美しい光沢を放ちます。

 2月も下旬になると、国産のドングリの成熟時期はとっくに終了しており、ほとんどの個体では樹下に落ちてかなり時間が経った退色したドングリしか採集することはできません。ところが、成熟期間の個体差が大きいアラカシの中でも12月〜翌年の1月頃に熟す個体では、殻斗の内側に堅果を分離するための離層がうまく形成されずに、熟した堅果が殻斗に着いたままの状態で春の開花期を迎えるものが少なからずあります。それらのドングリは、1〜2ヶ月前に熟したにもかかわらず、見た目の鮮度は成熟したばかりのものとほとんど遜色がありません(図8-379-2参照)。

 先日、そのような見た目が新鮮なアラカシのドングリを採集してきて磨いていると、遊びに来ていたドングリ探検隊員たちが面白そうだから自分たちにもやらせろとばかりに、私の手から布を奪い去って同じように磨き始めました。

 布で磨くときのポイントは、あまり強くゴシゴシしない事。爪がドングリに当たらないように注意する事。そして、首回り(特に花柱)は折れやすいので、その部分を回避するように磨く事の3点です。探検隊員3号(下の孫)はこの春から小学1年生なので、磨いたドングリの首回りが欠損しているものが目立ちましたが、4年生になる探検隊員2号(上の孫)は見事にこの作業を完遂していました(図8-379-3参照)。くすんだドングリがピカピカになるのが楽しくてしようがないみたいで、二人とも夢中になって磨いていました♪

 種類を問わずドングリは磨けば光ることは、探検隊員もよ〜く知っていることだとばかり思っていたのですが、実は今回が初体験だったみたいです。成熟したばかりのドングリを磨いてピカピカにするのは、子供たちにとって意外に知られていないドングリを使った遊びの一つと言えるかもしれませんね☆