雑記377. 2020. 2.10
“ 7つも咲いたの? ”
 先月末から始めた採集サンプルの整理ですが、昨日までにようやく全体の2/3程度の片付けが終了しました。その間に見つけた貴重なサンプルとして、シリブカガシの殻斗に立つ果軸を雑記376で紹介しましたが、その後同じシリブカガシであらたにもう一つ貴重なサンプルが見つかりました。

 以前、雑記334で1つの殻斗の元になる器官に最大6個の雌花が咲いたと思われるシリブカガシのドングリを紹介しました(図8-377-1参照)。普段、我々が目にするのは多くても5個までなので、6個というのは極めて稀なケースではないかと思います。

 ところが、今から13年前に長居植物園 [ 所在地 : 大阪府大阪市 ] で採集したシリブカガシの果軸の中に、1つの殻斗の元になる器官に7個の雌花が咲いたと思われるドングリがあったのです(図8-377-2参照)。

 このドングリと果軸との接合部分の面積を見ると、同じ果軸に見られる1〜5個の雌花が咲いたドングリとほぼ同程度であることから、おそらく隣接する殻斗同士が合着して7個に見えているわけではないと思われます。もしもこれが事実であれば、今までマテバシイ属における最大果数を6個としてきましたが、今後は7個に修正する必要があるのですが、果たしてその実態は如何に...?!

 アラカシの果軸で隣接した2つの雌花序が合着した事例
(*)があるので、シリブカガシでも隣接した雌花序が合着して高次の多果が形成される可能性は否定できません。ですから、ドングリの最大果数については引き続き慎重に検討を要すると考えています。
* 殻斗の元になる器官から出現した殻斗同士の合着については、現在のところ確認できておりません。詳細は雑記346を参照願います。