雑記367. 2019.11. 6
“ こんな太い枝に結実するものでしょうか? ”
自宅のすぐ近くにある深田公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] には、たくさんのクヌギが植栽されています。樹高が3〜6mぐらいの比較的若い個体が中心で、それらは毎年コンスタントにドングリを結実します。住宅地に囲まれた公園内とは言え雑木林に隣接しているので、虫食害に曝されやすいのが玉にキズですが、クヌギのドングリの中でも私好みのちょっぴり寸胴でへそが大きなもの(図8-367-1参照)もあるので、毎年この時期になるとここでお気に入りのドングリを採集します。
さて、数日前にここで樹上にたくさん結実したクヌギのドングリを撮影していたら、ちょっと変わった光景に出くわしました。なんと、直径が20mmぐらいある太い枝に、まるで糊付けしたかのようにドングリがくっついていたのです(図8-367-2参照)。
一般にクヌギの場合、太さが5mm前後の細い枝に立つ短い果軸にドングリが結実した光景をよく目にします(図8-367-3参照)。クヌギは2年成なので、春に開花して翌年の秋に結実しますから、この図にある枝は、およそ1年半の間に直径が5mm前後にまで成長したことになります。
このように、クヌギのドングリが結実した果軸が立つ枝は5mm前後のものがほとんどですが、たまに10mmぐらいの枝に立つ果軸に結実したものにも出くわすこともあります(図8-367-4参照)。多くの個体で樹上を隈なく観察してきたわけではないので、はっきりした事は言えませんが、これまでに私が見た限りでは、クヌギのドングリが結実した枝の直径はせいぜい10mm前後がマックスでした。
そんな訳で、今回目撃した直径が20mmもある枝に立つ果軸にドングリが結実した光景は、俄かには信じがたいものでした。もしかすると、直径20mmの枝から分岐した細い枝に立つ果軸にドングリが結実して、結実した部位よりも先にある枝が脱落したせいで、太い枝に立つ果軸に直接結実しているように見えるているだけかもしれません。ただ、クヌギの果軸は通常新枝の根元から少し離れた部位に立つので、この想定はあまり現実的とは言えないでしょう。
実際に、このドングリが結実している枝の背面から結実している部分を確認しましたが、枝が脱落した様子は認められず、この枝に直接立つ果軸に結実しているようにしか見えませんでした(図8-367-5参照)。
このドングリが、直径20mmの枝に立つ果軸に結実しているのなら、僅か1年半の間にその部位の枝が直径20mmに達したことになりますが、実際そんなに成長するものでしょうか。そこで、このドングリが結実した部位からこの枝の末端までの長さを測って、およそ1年半の間にこの枝が成長したものかどうか、その妥当性を評価してみることにしました。
このドングリは地面から3m強のところにあるので、伸長量を直接測定できませんでしたが、樹木全体を写真撮影して、低位置にある枝の実測値と照合することで概算した結果、およそ1m50cmでした(図8-367-6参照)。
春の開花で出現した新枝で、長いものは50cmを超えることがあります。その枝に翌年の春に出現する新枝を加算し、さらに1年半の間に2〜3回枝の2度伸びが生じたと仮定すれば、1m50cmはクヌギの枝の伸長量として十分あり得る値だと思います。ただ、私自身この状況にまだ納得できていませんので、時間がかかるかもしれませんが、類似のものを探し出してさらに詳しく調べてから結論づけることにします。
(追記)
自宅の隣家の庭にあるクヌギは、年末になると毎年幹だけを残して、ほぼ全ての枝が伐採されます。ですから、毎年春になると現れる新枝の様子がよく判るんです。これまでに幾度も、年末に伐採される直前に100cm前後まで新枝が伸長した姿を目撃してきましたが、今年は例年になく伸長した新枝があることに気づきました。
図8-367-7の赤矢印で示した枝がそれです。4月上旬に冬芽が開いてから、なんと3ヶ月半程度で新枝の長さが220cmに達し、根元の部分の直径は16mmもありました(他の新枝も、今年は軒並み150cm前後まで伸長していました)。もしこの新枝に花軸(果軸)が立っていて、年末に伐採されなければ、来年の秋には直径が20mm前後の枝にそれが立つ姿を見ることができるのではないでしょうか。二度伸び現象を考慮しなくても、クヌギの枝がこれぐらい成長することってあるんですね〜♪