雑記366. 2019.10.31
“ 毒々しい模様の堅果に異形の殻斗 ”
 ドングリ(堅果)は単色が一般的ですが、中にはいろんな模様がついたものもあります(*)。とりわけ、マテバシイのドングリはバラエティに富んでおり、図8-366-1のような派手な色彩のものをしばしば目にします。
   * セクション27を参照願います。

 マテバシイと比べて、普段私たちが目にする他の種類のドングリには目立った模様は見られず、あってもせいぜい薄黒い縦縞や小さなシミがあるぐらいです(図8-366-2参照)。

 ここ数年は、そういうアッサリしたものばかり見慣れていたので、先日高塚公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で出くわしたコナラのドングリにはとても驚かされました(図8-366-3参照)。こういう毒々しい模様があるコナラのドングリはそんなに珍しいわけではありませんが、久しぶりに見るとかなりインパクトがありました。


 ところで、これらの毒々しい堅香を採集していた時、堅果だけでなく殻斗からも異様な雰囲気が醸し出されていることに気づきました。それもそのはず、この毒々しい堅果を包んでいたのは、鱗片が内側に回り込んだ特異な形態の殻斗だったんです(図8-366-4参照)。

 この形態の殻斗は、これまでにも様々な樹種で目撃してきました
(**)。それらの多くは、その個体のドングリの中では少数派で、ほとんどは偶然の産物でしかありませんでしたが、この個体の殻斗は大半がこの形態でした。
 コナラについては、以前大泉緑地 [ 所在地 : 大阪府堺市 ] の個体で類似のものを目撃して以来、この個体で2例目になりますが、大泉緑地の個体の殻斗も大半がこの形態でした。どこにでもありそうに思われるかもしれませんが、コナラに限っていうと、この殻斗はかなりのレア物なんですよ〜☆

 因みに、殻斗の鱗片が内側に回り込むのは、ドングリが縦横方向に等方的に成長する過程で殻斗と堅果の成長のバランスが崩れ、前者が後者よりも過度に成長したことによるものと私は考えています
(***)
  ** セクション6-4にコナラの例があります。
*** 雑記179を参照願います。