雑記359. 2019.10. 1
“ メリットが実感できる光景 ”
  山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] に植栽されたマテバシイの中で、ほぼ毎年のように年に複数回開花を繰り返す個体の多くが、今年大豊作でした。樹上にはドングリの群れというか、ドングリの塊のようなものが至るところに見受けられ、それらを撮影している間中、終始この光景に圧倒されてしまいました。

 年に複数回開花を繰り返すマテバシイでも、秋以降に開花したものは結実状況があまり芳しくないので、昨年までは春に1度だけ開花する普通の個体の結実風景と大した差はありませんでした。ところが、今年は春と秋に開花したものがほぼ同時期に大量に結実したせいで、樹上にたくさんのドングリの塊が出現したんです〜☆


 
 図8-359-1と図8-359-2は、9月の中頃にある個体を撮影したものです。枝の下段にある果軸(昨年の春に開花したもの)と上段にある果軸(昨年の秋以降に開花したもの)の両方とも結実状況が極めて良好です。参考までに、この図とは別の個体で撮影したものを図8-359-3に示します。

 一方、図8-359-4は前二者とは異なる個体で撮影したものです。この図では葉に隠れて判りませんが、このドングリの塊があるすぐ下方の枝にもう1つ果軸が立っていて、そこにもたくさんのドングリが結実していました。ということは、この図のドングリの塊は、秋以降に開花したものだけで構成されていることになります。
 この枝に近づいてドングリの塊を掻きわけてみると、枝の長さ方向に2つの異なる位置から果軸が立ち上がっていることがわかりました。おそらく、昨年の秋から冬までの短い期間に、少なくとも2度開花したものが結実したと思われます。

 これらの光景は、2年成というシステムがもつメリット(*)を端的に表しているのではないでしょうか。ただ、現代のブナ科の植物の大半が年に1度しか開花しなくなったことで、このシステムの素晴らしさを実感できる機会は徐々に失われつつあるように思われます。
* 雑記352を参照願います。