雑記356. 2019. 9.17
“ 変形葉の一種です ”
先日、勤務先からの帰り路、緑ヶ丘公園 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] でちょっと珍しいアベマキの殻斗を採集しました(図8-356-1参照)。みなさんはこの殻斗が普通の殻斗とどこが違うか判りますか?
正解は、殻斗を覆う鱗片の1つが二股に分岐しているところです(図8-356-2参照)。これまでかなりの数のアベマキや鱗片の構造がよく似たクヌギの殻斗を見てきましたが、鱗片が二股になっているのを見たのはこれが初めてです。
殻斗を覆う鱗片は変形葉(変態葉)の一種で、その名の通り葉です。一般に、ドングリの葉は主脈が分岐して葉先が二股になることはありませんが、ごく稀に二股に分岐した葉を少量だけつける個体があります。
昨年、掖谷公園 [ 所在地:兵庫県神戸市 ] にあるシラカシで、二股に分かれた複数枚の葉を見つけました(*)。最終的にこの個体から7枚採集しましたが、今年も先月末に6枚採集しました。図8-356-3は、先月末に見つけた二股の葉の内の3枚です。他のシラカシでは、このような葉はほとんどお目にかかれないことから、おそらくこの個体に固有の遺伝的なものが関与していると思われます。
二股の葉が滅多にお目にかかれないことから、二股の鱗片もおそらく稀少性が高いのではないでしょうか。ただ、遺伝的なものが関与しているなら、この殻斗を生み出したアベマキで二股の鱗片をもつものがまた見つかるかもしれません。
* 雑記307参照願います。