雑記348. 2019. 7.25
“ 驚きの着果数 ”
アラカシの果軸には個体によって様々なタイプがあります。最も一般的なのは、長さが10mm前後の非常に短い果軸です(図8-346-1 左側参照)。それに比べると少数派ですが、20〜30mmぐらいのやや長めのものもあります(図8-348-1 中央参照)。さらに、稀にではありますが、50mm前後もある非常に長い果軸も存在します(図8-348-1 右側参照)。
但し、アラカシの果軸はその長短に関わらず、類似のシラカシと比べて果軸1本当たりの着果数は少なく、長いものでも5個ぐらいが普通で、10個を超えるものを目にしたことは一度もありませんでした。
ところが、先月はじかみ池公園 [ 所在地 : 兵庫県三田市 ] のアラカシで、13個も着果した果軸が見つかったんです!この個体は、例年30〜40mmぐらいの果軸を立てますが、これまで着果数は多くても8個でした。今年も果軸の長さについては例年とほとんど変わりませんでしたが、今年は1本当たりの着果数が全体的に多く、その中でも13個は群を抜いていました(図8-348-2参照)。
シラカシであれば、長さが50〜70mmぐらいの果軸に10〜15個が着果している様子はそんなに珍しくありません(*)が、アラカシでこれだけ多くの幼果が着くことはまず無いでしょう。
* セクション28の4項の図28-4-2に、13個の幼果を着けたシラカシの果軸の例を掲載してます。
それから一ヶ月が経過して、再びこの果軸の様子を見に行ってきました(図8-348-3参照)。幼果が2個欠損していましたが、残りの11個はまだ健在でした。ただ、これまでの経験から、アラカシではどんなにたくさん着果しても、1本の果軸に結実するドングリはせいぜい5個ぐらいなので、これから成熟するまでの間にどんどん数が減っていくものと思われます。
コナラ属では、長い果軸にたくさん着果しても、短い果軸に数個しか着果しなくても、最終的に結実するドングリの数はどちらもあまり変わりませんので、長い果軸をもつことのメリットはあまり感じられません。もしかすると、コナラ属の果軸が長い年月の間に徐々に短くなっているという私の仮説と何か関係があるのかもしれません。