雑記345. 2019. 6.20
“ 発見!小さな雪だるま ”
 ドングリとは、殻斗の元になる器官に咲いた雌花が結実したものです。でも、殻斗の元になる器官に咲くのは雌花だけではありません。そこから花軸が現れることもあるんです(*)。一般的な樹木でこの現象を目撃することはほとんどありませんが、コナラ属の中でも季節外れに開花する個体であれば、比較的よく目にすることがあります(図8-345-1参照)。
* セクション26の4項を参照願います。

 
 殻斗の元になる器官から現れる花軸は、普通の花軸と変わらないものもあれば、外観からはその存在が確認できないぐらい短いものもあります。図8-345-1の上段の写真は前者、そして下段は後者の典型例です。とりわけ、後者についてはしばしばユニークな形態のものに出くわすことがあります。
 先日、その後者についてユニークな形をしたものを見つけました(図8-345-2参照)。殻斗の元になる器官に現れた花軸に、殻斗の元になる器官が一つだけ着き、そこに咲いた雌花が早期に退化消滅したせいで殻斗だけが成長した結果、二段重ねのコナラの殻斗が誕生しました。まるで、小さな雪だるまみたいでしょ ☆☆

 きれいな雪だるまが形成されるには、三つの条件があります。一つ目は、殻斗の元になる器官から現れる花軸が、外部からは視認できないぐらい短いこと。二つ目は、殻斗の元になる器官から現れる花軸に、一つだけ殻斗の元になる器官が着くこと。そして三つ目は、一つだけ着いた殻斗の元になる器官に咲いた雌花が消滅して殻斗だけが成長し、花軸が出現した殻斗の元になる器官(下段の殻斗)と同じぐらいの大きさに成長することです。これらの条件が一つでも満たされないと、シチュエーションは同じでも、図8-345-3のような不完全な雪だるまになってしまうんです〜