雑記034. 2010.11. 4
“ ブラックオークに新顔ドングリ登場! ”
 秋晴れの清清しい好天に恵まれた文化の日、約1年ぶりに大阪市立大学の附属植物園を訪れました。同園は、約30haの広大な敷地内に、日本の11種類の樹林型が復元されており、それらの中の多くの区域で様々な種類のドングリが落下します。

 勿論、日本だけではなく、世界の樹林型を再現した区域もあり、中でも北アメリカ区には、レッドオーク、ウォーターオーク、ブラックオーク等の北米を代表するドングリの樹がたくさんあります。ただ、残念ながら数が多い割に、ウォーターオーク以外の樹はドングリの落下が不定期で、しかも僅かな数量しか落としてくれません。

 私が初めて同園を訪れたのは、今からちょうど5年前の2005年ですが、2007年にレッドオークとブラックオークの一部からドングリが落下したのを最後に、昨年まではず〜っと不作が続いていました。
 そんな状況ですから、今年も特に期待はしていなかったのですが、昨日この区域を散策していると、落葉の上にブラックオークのドングリが点々と転がっているのが目に着きました。2007年に採集したものと同じ樹(図8-34-1の左側奥)から落下したようです。
 拾い始めると、アッという間に持参した袋(と言っても冷凍食品を保存する為の小さなものです)が一杯になりました。久しぶりのかわいいドングリとの対面にすっかり気を良くした私ですが、今日のサプライズはこれだけではなかったのです。

 北アメリカ区をあとにしようと、同区の入り口付近まで戻って来ると、入口脇の斜面にある樹(図8-34-1の右側)の中で、今まで一度もドングリを落としたことが無かったブラックオークの樹下に、僅か10個程度ですがドングリが落ちているのに気付きました。
 縦にやや長いドングリで、これまで採集したものとは明らかに形状が異なります(図8-34-3参照)。初めての出会いに、思わずニンマリとしてしまいましたが、実はこのドングリはもう一つ驚くべき要素を兼ね備えていたのです。

 なんと、このドングリの殻斗の表面を覆う鱗片が内側に回り込んでいたのです♪私が個人的に興味をもって収集している、“ ちょっと変わったドングリの帽子 ” シリーズの第5弾
(*)と言ったところでしょうか。
 国産のドングリでも極めて稀にしか遭遇しないこの事象が、国内で少数しか植栽されていない外国産のブラックオークのドングリで見られるなんて、本当にビックリ仰天です♪♪ 
 因みに、鱗片の回り込み(最大3mm弱程侵入)は採集した全てのドングリから確認出来ましたので、これまで見てきた他の殻斗
(*)と同様に、この現象は特定の樹木に固有のものと考えられます。

 今回もコナラ亜属のドングリ(**)でしたが、以前雑記27でお約束した通り、近日中に “ ちょっと変わったドングリの帽子 ” と題して、これまで紹介してきたものの総集編を掲載します。
 これからも注意深く殻斗の内側を観察しながら、新しい仲間を増やし続けていきますので、今後の成果にご期待下さい。
  * 殻斗の内側に鱗片が侵入したドングリ関する関連記事は以下の通りです。

   1. アベマキ : セクション6-2 大泉緑地の奇妙なドングリ その1
   2. クヌギ : セクション6-2 大泉緑地の奇妙なドングリ その1
   3. コナラ : セクション6-4 大泉緑地の奇妙なドングリ その3
   4. カシワ : セクション8 雑記27 ちょっと変わったカシワの帽子
** ブラックオークはコナラ亜属に分類されます。