雑記336. 2019. 4.21
“ ウバメガシの多果の花 ”
国産のブナ科の樹木の中で、クヌギ、アベマキ、ナラガシワ、ミズナラの4種は京阪神の低地で最も開花が早く、4月上旬には垂下した雄花序が樹上の至るところに見られます。他にも4月に開花する樹種として、コナラ、アラカシ、ウバメガシが中旬頃から、そしてスダジイ、ツブラジイ、カシワ、シラカシが下旬頃から咲き始めます。
今年は先週から本格的にドングリ探索を始めたところですが、幸先よくウバメガシの2果の雌花(図8-336-2参照)を見つけました☆ 場所は一年(冬期間は除く)を通してよく探索に出掛ける、兵庫県神戸市の高塚山緑地です。実は、同種で多果の雌花を目撃したのはこれが初めてなんです♪
国産のコナラ属でも、アカガシ亜属は多果を発現する樹種が比較的多いのに、コナラ亜属ではミズナラを除くとほとんど多果を発現しません。京阪神ならどこでも目にすることができるウバメガシも、他のコナラ亜属の樹種と同様に、多果形態の雌花やドングリに出会うことはほとんどありません。
ところが、ここ数年神戸市西区に点在する公園や緑地を探索していると、多果(幼果)を何度も目撃しました。とりわけ、今回雌花を見つけた高塚山緑地では、3体のウバメガシで多果の発現を確認しています。
多果を発現しやすいシラカシでは、特定の個体よりも、あらゆる個体で突発的に多果を発現するケースの方が圧倒的に多いのですが、アベマキやアラカシのような多果を発現しにくいものについては、特定の個体で発現するケースが多いように思われます(*)。ウバメガシは後者に属しますので、これまでに多果を発現した実績がある他の個体についても、注意深く観察してみることにします。
* 雑記311を参照願います。