雑記033. 2010.10.28
“ 拡がりゆくドングリの林 ”
 毎年、採集してきたドングリの中から、形態に特徴があるもの、実験サンプルとして使用するもの、シーズン中に自宅の門の表札を飾るもの(表札の周りにたくさんのドングリを並べています)、そして今年から家族の一員になった愛猫 “ ルーカス君 ” のおもちゃにするものを除いて、余ったドングリは廃棄します。
 但し、廃棄すると言ってもドングリは大切な自然の恵みですから、ゴミとして捨てたりはしません。自宅の周辺には、タヌキやイタチ、キツネといった動物がたくさんいますので、彼らの食料として少しでも還元出来るように、自宅前にある庄司ヶ谷池の岸辺に撒くことにしています。

 ドングリ採集を始めた頃から、毎年池の周囲に所構わず大量のドングリを撒き散らしてきたのですが、4〜5年前に池の西岸の側道から対岸がよく見渡せなくなったことに気づき、その原因が西岸沿いに繁茂するドングリの樹にあることが判って驚きました。
 現在の住まいに移り住んできた頃は、池の南岸にあるマツ林と、西岸にアラカシが1本とサクラが4本しかなかった筈なんですが、今では池の西岸一帯に私の背丈以上(高いものでは4m以上)に成長したドングリの樹が、なんと20本以上もあるのです♪

 ここは三田市が管理しているので、毎年電動芝刈り機で池の周辺に生えた雑草はきれいに刈り取られます。ですから、たとえドングリが芽を出したところで、普通はあっさりと刈り取られてしまうのが落ちです。
 ただ、池の西岸は急斜面なので、無作為に撒いたドングリの内、偶然にも池の縁スレスレの所に留まって芽を出したものは、これまでに伐採を免れてきたようです。しかしながら、この様なケースは極めて稀で、ほとんどのドングリはそのまま池の中に落ちてしまうので、これだけでは現在のようにたくさんの樹が大きく成長することは無かったでしょう。
 
 実は、多くのドングリの樹が生き残った最大の要因は、元から岸に植栽されていたアラカシとサクラのすぐ傍に偶然撒かれたものが芽を出して、それらの樹の下枝に隠れるかたちで伐採を間逃れていたことにあります。
 図8-33-1を御覧になれば、これら5本の樹を起点に横方向に樹木が拡大していることがお判り頂けると思います。この事に気づいてから、私はなるべくこれらの樹が生い茂っている所を狙って、ドングリを撒くようになりました。
 それが功を奏したのか、現時点で私の背丈以上のドングリの樹は、クヌギ:1本、アベマキ:2本、アラカシ:11本、コナラ:8本、クリ:2本で、膝丈ぐらいの高さのものを含めると全部で34本にもなります。樹高は2〜3mぐらいのものがほとんどですが、みんな元気に枝葉を広げ、今年もたくさんのドングリを結実しています(図8-33-2参照)。

 野生動物の生息数が減少著しい昨今、動物散布ならぬ人間散布こそがドングリの樹の植生域を拡大できる唯一の手段ですから、私は三田市在住の1ボランティアとして、シーズン中は日夜ドングリの採集と廃棄の繰り返しに明け暮れているのであります。

 池を管理されている方達にとっては、除草作業がやり難くなるため、色々と御迷惑をお掛けしていることと存じますが、私の独りよがりな緑化活動を成功に導くためにも、今後は除草作業の簡略化に御協力下さいますようお願い申し上げます。