雑記328. 2018.11.27
“ 隣の木に伝染っちゃったの? ”
 2012年の秋、掖谷公園 [ 所在地:兵庫県神戸市 ] にあるウラジロガシにたくさんの多果ドングリが結実しました(*)。以来5年間、この個体に多果の雌花が咲いているのをしばしば目撃してきましたが、結実したことは一度もありませんでした(図8-328-1参照)。ところが今年の秋、このウラジロガシの形質が伝染したかのように、その隣にあるウラジロガシにたくさんの多果ドングリが結実したのです!

 数は少ないですが、隣の個体にも以前からしばしば多果の雌花が咲いているのを目撃してきました。でも、結実したことは一度もなかったので、9月頃に少し大きくなった多果の幼果を見た時には驚きました。
   * 雑記099を参照願います。

 2012年に多果ドングリを結実した個体は、結実量としては多かったのですが、どれも1つの殻斗に2〜3個の堅果をまとめて包含した堅果統合型の多果であり、多様性という点では単調でした。ところが、今回結実した個体では、堅果統合型に加えて1つの殻斗が2〜3個の堅果を分けて包含した堅果分離型のものも多数混在しており、おまけに多果を構成する堅果のサイズも大小も様々でした。

 少し前に山田池公園 [ 所在地 : 大阪府枚方市 ] で見つけたアラカシ
(**)もそうですが、ウラジロガシにもシラカシと同様にバリエーションが豊かな多果が存在することがこれで確認できました(図8-328-2参照)。
  ** 雑記325を参照願います。

 
 さらに多果以外にも、この個体には変形ドングリ “ 変形くん ”
(***) が大量に結実していました(図8-328-3参照)。他の樹種でしばしば目にするものよりも、殻斗と堅果の変形が激しく、果皮に亀裂が入って種子が部分的に露出しているものが多く見られました。変形ドングリ “ 変形くん ” と多果ドングリが密接に関係していることを示す貴重なデータをまた一つ入手することができました ☆
 *** セクション3-2を参照願います。