雑記324. 2018.11.12
“ 多種子が半端ない! ”
 ひと月ほど前に、掖谷公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で大きくてきれいな卵形のコナラのドングリ(図8-324-1参照)を見つけました(*)。今回はその後日談です。
   * 雑記316を参照願います。

 先週末に同園を散策していたら、樹下に大量に落下したこれらのドングリが発根していました。どこか普通の発根とは様子が違っていたので、近づいてよく見てみると、発根しているドングリの大半が裂けた首の部分から2本以上の根を出していました(図8-324-2参照)。

 ドングリの雌花は、子房の先端にある花柱の数の倍の胚珠(種子のもとになるもの)を包含しており、普通はその中の1個だけが受精して、堅果の中に1個の種子が入ったドングリが誕生します。ところが、たまに複数の胚珠が同時に受精すると、堅果の中に受精した数だけ種子が入ったドングリが誕生します
(**)。これまで、アラカシやウバメガシでは2〜4個の種子が入ったドングリにしばしば遭遇してきましたが、コナラでは多種子のものを目にする機会はそれほど多くはありませんでした(***)
  ** セクション3-2-3-1を参照願います。
*** 雑記214を参照願います。

 発根しているドングリの大半と言いましたが、具体的にどれぐらいの割合で多種子が混在しているのか簡単な調査をしてみました。地面の上で50cm角のエリアに落下した堅果を全て採集して、それぞれが内包する種子を数えてみたら、総堅果数 : 109個の内の89個が多種子(内 2種子 : 42個、 3種子 : 47個)でした。なんと、8割を超えていたんです!

 このドングリのムッチリとした可愛らしさには、こんな途轍もない秘密が隠されていたんですね〜♪ 発根した様子を見ていなかったら、おそらくこの事実に気づく事はなかったでしょう。