雑記320. 2018.10.24
“ 最後の一粒 ”
 京都府立植物園 [ 所在地 : 京都府京都市 ] に植栽されたスカーレットオーク [ 学名 : Quercus coccinea ] がナラ枯れで伐採されてから、京阪神では二度とこのドングリを採集することはできないだろうと諦めていたんですが、2年前にこのHPをご覧になられたAさんから、森林植物園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にもスカーレットオークが植栽されていることを教えていただきました(*)。早速、この情報を元に一昨年、昨年と2年連続で同園に足を運びましたが、樹下に落ちていたのは殻斗から堅果が顔を出していない未熟な幼果ばかりで、成熟したドングリは思うようにゲットできませんでした。
* 雑記212を参照願います。

 そんなわけで、今年もあきらめずに先日同園を訪れたのですが、京阪神の他の緑地や公園と同じ様に、9月上旬の台風21号の影響でここも甚大な被害を受けていたことがわかりました。しかもその被害は、はスカーレットオークにまで及んでいました。3体ある内の一番大きな個体(図8-320-1 @参照)は倒壊寸前で、ドングリを結実しないやや小さめの個体(図8-320-1 A参照)は枝や葉が吹き飛ばされて丸裸に、そして一番小さな個体(図8-320-1 B参照)は幹の途中から折れていて、もはや採集どころではありませんでした。
 因みに、ネームプレートの傍に立っていた個体(表示はスカーレットオークですが、たぶんレッドオークの間違いだと思います)
(*)は、昨年ナラ枯れで既に伐採されたので、この図には写っていません

 ということで、残念ながら同園であらたにスカーレットオークのドングリを採集するのは不可能になってしまいました。ただ、これまであえて触れませんでしたが、この3年間で全く採集できなかったかというと実はそうではなかったんです。1個だけですが、昨年の10月末に樹下の藪の中に転がっているのを見つけていました(図8-320-2参照)。それをゲットした時には、来年以降にたくさん採集できる時がくるだろうと思っていたのですが、結局これが最後の一粒になってしまいました。

 最後の一粒は、スカーレットオークとしては標準的なサイズのもので、比較的良好な状態でした。レッドオークとよく似ており、堅果の形態で両者を区別するのは難しいですが、殻斗を見るとスカーレットオークの方が鱗片がやや長めで、レッドオークよりもブラックオーク(**)と雰囲気が似ています。特に、幼果を見ればレッドオークとスカーレットオークの違いは明らかなので、典型的なものについては殻斗の鱗片を見れば区別できると思います(図8-320-3参照)。
** セクション2-1(ブラックオーク)を参照願います。