雑記003. 2009.11. 9
“ 3年ぶりにシラカシの多果ドングリが結実しました ”

 図8-3-1は、2006年に兵庫県三田市にある深田公園の特定のシラカシ(図8-3-2の矢印青で表示)から採集した多果ドングリです。図中の10円玉と比較してもらえれば明らかですが、ほとんどのドングリは未熟な幼果です。私が採集したのは10月末日でしたが、半数以上の多果ドングリは既に朽果てていました。恐らく、9月下旬〜10月上旬頃に落下したと思われます。
 図8-3-1にあるドングリは、採集した中でも、割りときれいな形で残っていたものだけを撮影していますが、腐敗したものや割れたものも含めると、その年に落下したドングリの総数は、優に300個を超えていました。

 ドングリの樹の中でも、シラカシは他の種類に比べて多果ドングリが発現しやすいようです。ただ、数個程度(稀に多いもので数10個)の結実は随所で見られますが、100個を超えるようなものは極めて稀だと思います。少なくとも、私はこれまで多くの樹木を観察してきましたが、深田公園以外の場所でこのようなケースを目撃したことはありません。

 ところが、2006年の大量結実がまるで幻だったかの様に、それ以来多果ドングリが全く実らない年が続きました。3年間のブランクですっかり諦めかけていたのですが、昨日この樹を観察したところ、樹高の低いところだけで12個の多果ドングリが確認出来ました。ほとんどのドングリは双眼鏡でしか確認出来ない所に実っているので、恐らく樹木全体では数十個ぐらい結実していると思います。

 今回、多果ドングリの総数としては以前と比較にならない程度(確認出来た範囲)ですが、幼果で落下しているものは1つも無く、全てが樹上で大きく成長していました。図8-3-3は、私の手が届く範囲で強制採取したものの一例です。多果の形態も実に様々で、

 (a). 1つの殻斗が、複数個の堅果を個別に包含した形態 [ 図3-A-1(*)のタイプTに該当 ]
 (b). 1つの殻斗が、分離した複数個の堅果をまとめて包含した形態 [ 図3-A-1(*)のタイプUに該当 ]
 (c). (a)と(b)の複合型のもの

の3種類がありました。今年は豊作年のようで、樹にはびっしりとドングリが結実しています。これから12月上旬にかけて本格的に落下するので、今から楽しみです。
 * 詳細は、セクション3-1-1 “ 多果ドングリの形態の特徴 ” を参照願います。