雑記294. 2018. 4.23
“ 二度ならず、三度も... ”
一般に、マテバシイの花期は5〜6月頃です。でも、9〜11月頃にもう一度花を咲かせる個体が少なからずあります(*)。マテバシイの花軸(果軸)は、枝の伸長方向にある特定の箇所から複数本がまとめて立ち上がります(図8-294-1参照)。ですから、5〜6月頃に開花した後、再度9〜11月頃に開花した個体では、その間に伸長した枝を挟んで上下2箇所に花軸(果軸)の立ち上がりが見られます(図8-294-2参照)。このように、直接開花の様子を見なくても、枝から伸びる花軸(果軸)の位置関係を確認すれば、その個体の一年を通じての開花状況を把握することができます。
* セクション22を参照願います。
ところで、これまでマテバシイの開花は年に二度が上限だと思っていたのですが、先日高塚山緑地 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で秋以降に二度開花を繰り返した痕跡のある個体を見つけました(図8-294-3参照)。
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この個体は、昨年の6月上旬(図8-294-3の右側の果軸)と9月中旬(図8-294-4の1、2番の果軸)に開花を目撃しましたが、9月に開花してから伸長した枝を見ると、再び開花を繰り返していたことが判りました(図8-294-4の3番の果軸参照)。
1番と2番の果軸にある幼果を見ると形態が酷似していることから、これらはほぼ同時期に開花したと思われますが、3番の果軸の幼果は前二者とかなり形態が異なるので、1番、2番が開花してからある程度期間をおいて開花したものと思われます。
9月以降の開花が一度きりではないようなので、これまで京阪神の各地で撮影してきた9月以降に開花したマテバシイの花軸(果軸)の写真を精査してみました。すると、同様に複数回開花したと思われるものが見つかりました。マテバシイに見られる9月以降の連続的な開花は、おそらくシイ属(スダジイ、ツブラジイ)にも共通した事象と考えられるので、今後シイ属についても詳しく調査してみます。