雑記287. 2017.11.18
“ 高所にたくさん実ってました ”
 ハナガガシは九州、四国でも限られた地域に自生する日本固有のブナ科の樹木です。中国地方や近畿以東ではほとんど見られませんが、和歌山県岩出市にある植物公園緑花センターには、大小合わせて20本前後が植栽されています。
 但し、同園のハナガガシの結実状況は決して良好とは言えず、初めて同園を訪れた2014年
(*)と翌年の2015年は、ごく僅かのドングリしか樹上に確認できませんでした。
  * 雑記214を参照願います。

 このように結実状況は良くないのですが、京阪神(**)ではここでしかハナガガシのドングリに出会えないので、ドングリ以外にも樹形や葉、樹皮等の撮影を兼ねて今年も行ってきました。
** 同園以外の場所に植栽された個体では、残念ながらほとんどドングリが実りません。

 当日はかなりの好天に恵まれ、青空を背景にハナガガシの樹形をきれいに撮影することができました(図8-287-2参照)。ざっと見た感じ、樹上にはほとんどドングリがないように思われましたが、多くの個体の高所部に、これまでにないぐらいたくさんのドングリが実っていました。
 微妙に風が吹いていたので、望遠レンズで撮影するとなかなかピントが合わなかったのですが、数時間粘った結果、HPをご覧になっているみなさんにも、ある程度雰囲気が伝えられる写真がいくつか撮影できました(図8-287-3参照)。

 
 樹上にあるのは未熟なドングリばかりで、落下していたのは比較的丸いタイプとやや細長いタイプの2種類(2個体)だけでした(図8-287-4参照)。おそらく、20日過ぎから月末にかけて落下のピークを迎えるのではないかと思われます。


 ハナガガシについては、これまで普通の形のドングリしか見たことがありませんでしたが、今回はじめて多果が発現したと思われるドングリに出会えました(図8-287-5参照)。
 殻斗の内側には、第2の堅果が癒着した痕跡がはっきりと残っていました。ハナガガシで多果が発現しやすいかどうか定かではありませんが、たぶん他の樹種と同程度の割合で発現していると思われます。