雑記281. 2017.10.23
“ 退色したら識別できないかも...? ”
昨年の春、このHPをご覧になられたAさんから、森林植物園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] にスカーレットオークやヒメカシワが植栽されていることを教えていただきました(*)。スカーレットオークについては二年連続不作みたいで、未だドングリにはお目にかかっていません。一方、ヒメカシワについては昨年たくさんのドングリが結実し、昨年ほどではありませんが、今年も少しばかりドングリが結実していました。
上記以外にもAさんから頂いたメールには、京阪神では山岳部を除くとあまり目にすることがないミズナラも植栽されているという情報もありましたので、昨年からスカーレットオークやヒメカシワといっしょにチェックしてきたところ、今年はたくさんのドングリが結実しました。
* 雑記212、238を参照願います。
10月10日に確認した時には、ドングリは未だ茶色がかった濃緑色をしていました。この様子だと、週末の10月15日頃には樹上で焦茶色に熟したドングリの姿を撮影しながら、落下したての新鮮なドングリを採集できると思っていたのですが、連日の雨天ですっかり好機を逸してしまい、ようやく晴れ間が見えた10月20日の午後に出かけてみると、ほぼ全てのドングリが落下したあとでした。
ミズナラのそばにある石段の遊歩道に落ちたものは、ほとんどが割れたリキズが入ったものばかりでしたが、それ以外の落葉や腐葉土の上に落ちたものは、きれいな状態のものが多数ありました(図8-281-2参照)。ただ、残念ながらほとんどのドングリは既に発根していました(図8-281-3参照)。
もともとミズナラのドングリは発根しやすいのですが、連日の雨天によって拍車がかかったのかもしれません。それにしても、10月10日に確認した時には、まだ一つも落ちていなかったのに、僅か10日間で急速に熟して、おまけに発根してしまうなんて、今更ながらミズナラの発根スピードに驚かされました。
これまで、たかだか20体ぐらいのミズナラに結実したドングリの形状しか確認していませんでしたが、それらはどれもへその直径が堅果の幅の6割ぐらいを占めるものばかりでした(**)。ところが、同園のミズナラのドングリは意外にもへそが小さなものばかりでした(図8-281-5参照)。
ミズナラと形がよく似たコナラのドングリは、平均するとへその直径が堅果の幅の4割ぐらい(**)なので、両者を識別するのにへそのサイズが有効なポイントになるかもしれないと思っていたのですが、同園のミズナラ(へその幅が堅果の幅の4割ぐらい)を見ていると、そうとも言えないみたいです。
** セクション20-3を参照願います。
落下したばかりのミズナラの堅果は焦茶色をしているので、その状態ならコナラの堅果と混同することはまずないと思うのですが、時間が経って果皮が退色してしまったら、両者を識別するのは容易ではありません。アラカシとシラカシのドングリのように、よく似た形のドングリを100%識別できる組み合わせは、早々ないのかもしれませんね。