雑記028. 2010.10.11
“ 妙見山のブナ林 ”
 大阪府豊能郡能勢町にある妙見山(標高660m)の山頂付近には、日本での南限として知られるブナ林があります。京阪神では、植物園以外でブナに直に触れることが出来る数少ない場所です。2005年の10月に訪れた時には、ブナのドングリが大豊作で、山頂付近の樹下は、正にドングリの絨毯を敷き詰めたような状態でした。

 ところが、それ以後、2006年、2008年の同時期に訪れても、ドングリは全く落ちていませんでした。ブナのドングリは豊作と不作の格差が激しいことで知られており、一般的には5年周期で豊作年がやって来るそうです。2005年が豊作年であったということは、今年は5年周期に当たる2010年ですから、“ 推定豊作年 ” のはず。
 そんな訳で、久しぶりにブナのドングリを採集する為に、ハイキングを兼ねて妙見山のブナ林を訪問することにしました。

 能勢電鉄の妙見口駅で降りて、妙見ケーブル乗場まで徒歩で約15分。いつものように、ケーブル乗場横の登山道(新滝道コース)から登って行こうとしたのですが、ケーブルのゲートを見ると “ 祝 妙見ケーブル・リフト運転再開50周年 ” の文字が目に入りました。
 妙見ケーブルの前身、妙見鋼索鉄道株式会社から現在の能勢電鉄が資産を譲り受け、運転を再開した日から数えて、今年でちょうど50年になることを祝しているそうです。
 登山道を歩いても山頂までたかだか1時間半程度なので、これまでケーブルやリフトに乗った事はありませんでしたが、今回は50周年記念と言う事なので、どんなものなのか試乗してみることにしました。

 山頂までの所要時間は、ケーブルが5分、その後のリフトが10分です。ケーブルの車窓から一望出来る里山の雄大な風景を眺めていると、アッと言う間に終着駅に着いてしまいました。その後、引き続いてリフトに乗りましたが、これがなかなか良いんですね〜♪足下に広がるコスモス畑や薄暗い雑木林など、周囲の景観がゆっくりと移り変わるのを眺めながら、リフトで揺られていくのがなんとも言えません。癖になりそうです。ゆったりした気分で寛いでいると、こちらもアッと言う間に山頂に到着しまいました。リフトゲートからブナ林までの道はきちんと整備されており、200m程歩くと見慣れたブナ林の風景が現れました。

 妙見山のブナ林は、山周辺一帯に700〜800年前からはえている木で構成されており、幹周りが3m程の大きな木が約400本でブナ林をつくっているとの事です(ケーブル内に掲示されていた案内書文面より一部抜粋)。また、山頂付近には立派なアカガシも多数有り、ブナ林と混成林を形成しています。

 今年はどれだけドングリが落ちているのか、楽しみにしてブナ林にのり込んだのですが......
 “ 何じゃこりゃ??全然ドングリなんか落ちてへんがな〜!”と、思わず関西弁で声に出して文句を言ってしまうぐらい、ドングリはどこにも落ちていません!山頂から山の斜面を下っていっても、1個も落ちてないんです!!推定豊作年にも拘わらず、一体どういうことでしょうか?これもダラダラと続いた猛暑の影響でしょうか??

 “ これまでも色んな所に出掛けて行って、何にも採集出来ない時の方が多かったし....今日はハイキングも兼ねて来たんだから、まあ良しとするか.... ” と自分を無理に納得させながら、今年は諦めるしかありませんでした。帰路は登山道の風景を満喫しましたが、足取りに往路の軽快感はありませんでした。