雑記275. 2017. 9.28
“ 群れをなすアベマキのドングリ 2 ”
 西神中央公園 [ 所在地 : 兵庫県神戸市 ] で、3つの幼果が着いた珍しいアベマキの果軸を見つけてから1年と4ヶ月が経過し、待ちに待った実りの季節がやってきました(*)この果軸に、3つのドングリが無事に結実した果軸が1本でも残っていることを祈りながら、先日同園に行って参りました。
* 雑記209、259を参照願います。

 ドングリが成長したこの時期にあらためてこの個体を見てみると、5〜6つのドングリが枝の特定箇所に群集しており、以前HPで紹介した摂津伊丹廃寺跡 [ 所在地 : 兵庫県伊丹市 ] の個体(**)に勝るとも劣らない状況でした(図8-275-1参照)。
** 雑記232を参照願います。

 開花直後には、3つの幼果をつけた果軸がたくさん見られたのですが、時間が経つにつれて果軸ごと脱落したり、一部の幼果が枯死してしまったりして、手の届く範囲の枝でまともに成熟したものは1つも見当たりませんでした。

 ところが、樹上の高所に目を向けてみると、小さな幼果の時には確認できなかった果軸の中に、3つのドングリが結実したものがたくさん残存していることが判りました。図8-275-2にある、6つのドングリが群集した内の赤丸で囲んだ3つがその例です。

 この写真を見て、なぜ果軸が見えないのに、3つのドングリが着いているのが判るかというと、枝に対してほぼ垂直方向に3つのドングリが山型に盛り上がるように結実しているからです(図8-275-3参照)。

 通常、アベマキの枝の特定箇所に群集した3〜4つのドングリは、1つか2つのドングリを結実した2本の果軸で構成されているので、枝の全周を囲むようにドングリが結実します(図8-275-4 上段参照)。それに対して、1本の果軸に3つのドングリを結実した場合は、枝の片側(半周部分)にだけドングリが盛り上がるように結実するので、その背面部分の枝にはドングリがありません。単純ですが、これで簡単に判別できます(図8-275-4 下段参照)。

 クヌギやアベマキの樹上でこのようなシチュエーションを目撃したら、それは3つのドングリが結実した果軸である可能性が高いです。みなさんも一度探してみてはいかがでしょうか。


 3つのドングリが結実した果軸を枝ごと数本採取して、自宅に持ち帰ってよく見てみると、3つの内の1つか2つが、真横から押し潰されたように変形しているのに気づきました(図8-275-5参照)。

 一般に、シリブカガシのドングリでは、堅果が極端に歪んだものが多く見られます。これは、果軸にドングリが密集して結実するため、隣接した殻斗同士が干渉して変形したことによって生じたものです。でも、これはあくまでシリブカガシのような薄い殻斗の場合であって、アベマキのような分厚くて頑丈な殻斗では、そのようなことは起こらないだろうと思ってました。

 そんなわけで、稀にクヌギやアベマキの樹下で目にする潰れたような形のドングリ(図8-275-6参照)が、どのようにして誕生するのか以前から不思議に思っていたのですが、図8-275-5にあるドングリを見て、アベマキでも十分に起こりうる事象であることがよく判りました。